南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

学校飼育動物

獣医が学校に出現する理由

前回、中学校に伺ったことを書きました。なぜ獣医師が学校を訪れるのか。 今日はそのことについて。 私が学校を訪問する理由は、 「学校が動物愛護教育の普及啓発の場」 だからです。 これは何も、私個人の勝手な考えではありません。 いわゆる動物愛護法に…

イモリ 〜皮膚の毒とは〜

その毒性は青酸カリの約1000倍。 解毒剤なし。 生物の持つ神経毒として歴史的に有名。その毒物の名は、テトロドトキシン。 フグの持つ毒として、毎年のようにニュースで取り上げられます。ではここで、学研の「危険生物」という図鑑を見てみましょう。 全国…

現場に花が咲いている

幼稚園のうさぎを診に行ってきました。この幼稚園には、うさぎが1羽しかいません。 その1羽も、すっかり年老いてしまって 寝たきりになってしまいました。それでも食欲はしっかりしており、 自分でできる範囲の毛づくろいはしています。 一時期、状態が悪か…

名前をつけましょう

四月一日を迎えました。 入園式、入学式のシーズンです。学校や幼稚園の動物を診て回ると 「名前のない子」 に出会うことがあります。獣医師会の診療記録簿にも 「ウサギ シロ(仮名)」 という感じで記載せざるを得ません。なぜ名前がないかと言うと、 理由は…

発表を終えて 〜二つのベクトル〜

獣医師会の発表が無事に終わりました。 「学校動物飼育支援 取り組みと対策 〜沖縄県の事例〜」 というテーマでお話してきました。 各都道府県の獣医さんの意見も 直接聞けましたし、自分の中に 新しい発想が芽生えた瞬間もありました。そして、 学校飼育動…

学校飼育動物を考える (8)

沖縄県動物愛護管理推計画。では、中身を見てみましょう。 ‥‥と言っても分量が多いものです。わかりやすい図があるので、その中から 「計画の概要」 を抜き出します。それぞれの機関の役割が、 しっかりと書かれています。まず、教育機関等の役割。 「幼児・…

学校飼育動物を考える (7)

「動物愛護管理推進計画」。どの都道府県にも、この計画書があります。沖縄県なら「沖縄県動物愛護管理推進計画」。 東京都なら「東京都動物愛護管理推進計画」。 大阪府なら「大阪府動物愛護管理推進計画」。一体これは何なのか。ここで、改めて動物愛護法…

学校飼育動物を考える (6)

前回からの続きです。毎年、獣医師会に掛かってくる、 飼育動物担当の先生からの相談。ところが、その地方公共団体の教育行政担当課は 「現場が問題を抱えて困っている」 という認識そのものがありませんでした。どういうことなのか?私も再度、現状を説明し…

学校飼育動物を考える (5)

市役所までの道すがら、 ある出来事を思い出します。「学校に予算がないんです」 そう言った飼育担当の先生は、 自費で治療費を負担しておられました。「子供達には、命は大切だって‥‥。いつも‥‥」大変心の優しい先生です。 しかし、先生個人に負担を負わせ…

学校飼育動物を考える (4)

いわゆる「動物愛護法」には、「学校は動物愛護の普及啓発の場」であることが明記されています。この動物愛護法は飼育動物にも適用されます。 当然、「学校」飼育動物にも…。その一方で、獣医師会には 「学校でうさぎが増えすぎて困っています」 「立て続け…

学校飼育動物を考える (3)

昨日、「学校飼育動物」は 「学校」の「飼育動物」である というお話をしました。 これに関連して、今日はひとつ、 「間違い探し」をしてみたいと思います。下の二つの文章に、違う箇所があります。 わかるでしょうか。A) 国及び地方公共団体は、動物の愛護…

学校飼育動物を考える (2)

学校飼育動物について考えるとき。 まず、押さえておくべきことがあります。それは、学校飼育動物は 「学校」の「飼育動物」である ということです。つまり、飼育動物がたまたま学校にいるだけであって、その飼育動物には当然、動物愛護法が適用されるという…

学校飼育動物を考える (1)

私の基本的な仕事は往診ですが、 たまに講演の仕事もします。先月は糸満市内のおしゃれなカフェで、 動物愛護ボランティアさん向けに 「動物由来感染症」 についてお話しました。さて、今月はと言うと。 平成31年2月10日(日)。会場は、新横浜3丁目大ホー…