南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

往診

針の誤飲! 続報

前回、「針の誤飲が続出しているのでは?」ということを書きました。 ここしばらく、「沖縄県獣医師会」という小さなコミュニティの中でとは言え、縫い針やまち針の誤飲件数が非常に多いことがわかってきました。 そこで沖縄県獣医師会は県下動物病院に緊急…

針の誤飲!

「うちの猫ちゃんが」 「飲んだんですか?まち針を?」 「たぶん‥‥。一本無いんです。遊んでるところを見たんです。アッと思ったら無くなっていて」 「この、残ってる針と同じ長さですか。しかしこりゃあ、飲めるような長さでは‥‥」 「でも、無いんです。飲…

1万分の1は0か

ここしばらく往診件数が多くて、日付をまたぐ日が続きました。 時間のかかかる難しい症例もあります。 なにも技術的なことだけではありません。例えば「告知する」という行いもその一つです。 「これは助かる見込みのない病気です」 とだけ言ってそそくさと…

たかが紐、されど紐

まずこの写真を見てください。 往診先で撮ったものです。 子犬の足が写っていますね。 そして地面の上に落ちているのは‥‥。 「ひも」です。 ここへは狂犬病の予防注射に来ました。 注射のあとすぐ帰ってよいでしょうか。 いいえ、それはいけません。 飼い主…

君はシラミを知っているか

「君は〜を知っているか」という題にすると、不思議に閲覧数が多くなるので、そうしてみましたが‥‥、 先日、シラミのついた猫を診ました。 シラミ、という生き物を知らない世代の方もいます。 ということで、これがシラミです。 正確には、猫ハジラミです。 …

検査結果は陽性?陰性?

「う〜ん、強陽性ですねぇ‥‥」 沖縄は冬でもフィラリア予防が必要です。 予防していないと検査キットで陽性の判定が出ることもしばしばです。 そんなとき念のため飼い主さんと一緒に顕微鏡で血液を観察すると、グルグル回るフィラリアを見ることができます。…

お見事!な看板

トキソプラズマのお話の途中ですが、猫のフンの話まで来ましたので、ここでちょっと「フン」についての話を挟みたいと思います。 動物のフンには、さまざまな病原体が含まれていることがあります。 ですから ・散歩中の犬のフンをそのままにして去る ・飼い…

【ご報告】 なは動物愛護フェスタ

「なは動物愛護フェスタ」に参加してきました。 愛犬健康相談のテントで3時間、30件近くの相談をお受けしました。 事故があってはいかんと思い、往診カバンを横に置いて相談をお受けしていましたが、何事もなく終わってホッとしました。 「歯石ですか、う〜…

【お知らせ】 なは動物愛護フェスタ

頑張ってトキソプラズマ症の続きを描いている所ですが、ちょっと急ぎの告知です。 日取りが明日にせまっていますが、 なは動物愛護フェスタが今年も開催されます。 ■日時:令和元年 10 月 27 日(日) 10 時~13 時■会場:『環境の杜ふれあい』 南風原町字新川 58…

動物を飼うと健康に良い?

私の往診先にはもちろん動物がいるわけですが、そこには当然人間もいます。 ご高齢の飼い主さんも多く、私も 「この子のためにも、私がシャンとしてないと」というような言葉をよく伺います。 「動物を飼うことは健康に良い」 確かに、これはよく言われる通…

恐怖症はいつから?

「見てごらん!コンクリートの上に猫の足跡があるよ!」 私が地面を指さします。息子は当時、3歳くらいだったでしょうか。 驚いた目でそれを見つめてひとこと。「わかった!この辺に、すごく重い猫がいるんだ!」今でもコンクリートに足跡があると、思い出…

脱・未知との遭遇 〜もらわれ先でパニックにならないために〜

誰だって、初めて見るものには戸惑うものです。【初めて往診カバンを見た猫の例】 そういえば昔、階段を下りられない犬がいました。 もっと正確に言えば、「段差」を下りられないのです。この子は子犬の頃から部屋を出た事がなく、散歩にも行った事がないと…

台風+雨風好きの犬=?

現在、沖縄は台風が通過中です。 今日の往診中も荒れた海を見ました。さて、雨や風が強くなると妙にテンションが上がる犬がいます。数年前、台風のあと電話がありました。「犬の目が、腫れてるんですよ」 「いつからですか?」 「いつからと言うか‥‥、昨日の…

ウジ対策 治療編

今回は「ウジを見つけたあとどうすればいいか」という点について述べます。まず言っておかねばならないのは、絶対条件として「獣医師の診察を受けること」です。ウジは体内深くに侵入しますし、肛門から入ったものは腸管を食い荒らします。 外科的にウジを取…

ウジ対策 予防編

前回、ウジを招きやすい条件について解説しました。そこで今回は「招かないようにするためにはどうすればよいか」のお話をしましょう。 1.毛刈りをする 単純に、毛が短ければ異常を発見しやすくなります。また、毛玉はハエやウジの基地になります。毛玉を除…

ウジを招く条件とは‥‥

今日の内容にはウジが出てきます。補正をかけて白黒画像にしてありますが、患部の写真もあります。あまり気持ちの良い写真ではありませんが、ウジの被害に遭う動物が出ないように、注意喚起の意味で書きました。とは言え、幼虫系が怖い方はご遠慮下さい。 ‥‥…

さて、ハエの話をしようか‥‥。

今日は「ハエ」のお話をします。このところ、ハエにまつわる往診が立て続けにありました。ハエの生態について知識がない飼い主さんもいるようですので、ここらでまとめておきましょう。ちよっと気持ち悪い話かも知れませんが、大事なことです。下の写真は、…

ジンブンスーブ???

移り住んで10年ほどたつと、沖縄の方言にもだいぶ慣れてくるものです。 しかし、今でもたまに面食らうことがあります。 狂犬病の予防注射を打ちに行ったときのこと‥‥。「こんにちは」 「あっ!ちょっと待ってて、うちの犬はよその人見ると興奮するから」 「…

「昭和」への往診 〜ハッピーエンド〜

以前、「昭和」への往診というタイトルでご紹介した、ミニチュアピンシャー。この子が先日、新しい家庭に迎えられました。 四方八方手を尽くして下さった方々のおかげです。この子は那覇育ちですが、新しい人生は北海道で始まるそうです。 ご協力・ご支援い…

おなかの、虫?

「おなかの虫」とか「虫下し」という表現があります。この場合の「虫」とは、いわゆる昆虫ではありません。つまり足が6本あったり、羽根があったりする生き物がおなかの中に住んだりはしないということです。これはある駆虫薬のパッケージに描かれているイラ…

カルテの向こうに立つ生き物、人間ー。

今日は飼育放棄の話をします。 確かにネグレクトはいけません。 法的にも問題があります。しかしなぜそうなったのか、ということを掘り下げないと問題の真の解決にはつながりません。実例を挙げてみましょう。ここにある飼い主さんがいます。 犬を飼っていま…

現場でおこっていることは‥。

実際に現場に行ってみると 「動物愛護法を振りかざせば解決する」 という単純な例は少ない、と前回書きました。実際の例を挙げましょう。 ある日、相談がありました。「猫をね、安楽死してほしいんです」電話の主は、かなり高齢の女性です。「引っ越すから、…

「昭和への往診」〜続報〜

3ヶ月近く前にご紹介した、立ち退きを迫られていたミニチュアピンシャー系の子。先日、飼われていた場所から安全な屋内の施設に移動しました。梅雨、梅雨が明ければ猛暑に台風と、このままではいけないという状況でした。 今回、複数の愛護団体さんと、いく…

愛玩動物飼養管理士 !

このところ、夜中は勉強にあてています。 資格のお勉強です。 といっても資格を取るわけではありません。公益社団法人「日本愛玩動物協会」が認定する資格に「愛玩動物飼養管理士」というものがあります。 愛玩動物(ペット)の愛護及び適正飼養管理の普及啓…

ペットロスについて 〜動的平衡〜

看取ったり、最後の聴診を終えることが続くと、どうしてもペットロスの事から離れることができません。何年たってもペットの遺骨をお墓に入れられない飼い主さん。 何年も経ってから「あの子の最期はあれでよかったのでしょうか」というお電話を下さる飼い主…

注射、注射、海、注射。

毎年4-6月は狂犬病予防注射月間。 ということでこの時期、一年で一番忙しい日々を過ごしております。 海沿いに回りながら、一軒一軒、注射していきます。集合注射に来られない方は毎年います。 ・ご本人の足腰の問題 ・犬の性格の問題 ・集合注射の日、犬の…

見送る飼い主さんのそばで考えること

このところ、診ていた動物を看取ったり、亡くなったという連絡を受けてお悔やみに伺ったりする日が続いています。なぜか続くときは続くもので「いよいよ危なそうだ」と呼ばれて向かう途中で、別のお宅から「こちらもいよいよ‥‥」という電話が来たりします。…

ハムスターと飼育ケージ

このところ連日、日付が変わるまで往診があってなかなか文章を書く時間もとれませんが‥‥、 急いで書いておかないといけない事もあるようです。「帰ったらハムスターがぐったりしてひどい下痢をしている、たぶん部屋が暑かったため脱水症状だと思う」 という…

なごむ写真

連休もいよいよ終わり。 明日からお仕事。こんなときに難しい話も何ですので、今日は 「往診中に見つけた、なごむ写真」 をご紹介します。 心の充電にお役立てください。まずはこれ。 どれが本物でしょう。 ‥‥と言ってもすぐにわかりますね。 しかしこの猫、…

その薬、待った!

連休中に動物の具合が悪化、 かといってかかりつけの動物病院は休診、 さて薬はないかと探してみたら‥‥。 あった! でもこれ、俺が病院で処方されたものだぞ。いいか、薬は薬だし。 細かく割って、飲ませてみるか。‥‥というようなことが起こっていないか心配…