南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

子猫と暖冬の関連性

今年、動物愛護ボランティアさんが口々に

「子猫が多い」

とおっしゃいます。

 

もっと正確に言えば

季節は冬に向かっているのにまだ子猫が多い、

ということです。

 

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猫は日が長くなると発情しやすくなります。

ですから冬の終わりごろから発情が始まり、

妊娠出産を経て、秋口には発情がおさまってきます。

 

猫の妊娠期間は約63日です。

ですから春先、まだ少し寒くても

発情して交尾します。

子猫が生まれる頃には、世間はすっかり春。

気温が高ければ子育てしやすいですからね。

 

要するに猫は

「季節の変化を先取りして行動している」

ことになります。

 

話を戻すと‥‥。

今年、沖縄県では11月でも子猫が多い状態です。

沖縄とは言え冬場は気温が10度を下回る日があります。

2016年には雪も降りました。

 

仮に、母猫が11月に出産するとしましょう。

すると1月、子猫は二ヶ月齢を迎えます。

1月の沖縄は寒い‥‥。

 

そして猫の二ヶ月齢というのは、

だいたい母乳からの移行抗体が切れる時期です。

もちろんその時期から子猫は

自分で作り出す抗体に守られるようになりますが、

まだまだ免疫力は低い状態です。

 

冬、成猫もいわゆる猫風邪にやられやすくなります。

これが子猫にも感染しますから、

生存率はかなり低くなると考えられます。

 

ところが今年、

猫の出産時期は例年より後ろにずれています。

猫が季節の変化を先読みして行動する事を考えると、

「今年は暖冬なのでは?」

と思ってしまいます。

 

さて、果たしてどうかな‥‥と、

気象予報を注視しております。

 

そして目も鼻もグシュグシュの猫が

普通にその辺を歩いているこの状況を、

早く何とかせねばならないと思っています。

 

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