南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

SFTS とは何か(1)

 

重症熱性血小板減少症候群

(じゅうしょう ねっせい けっしょうばん げんしょうしょう しょうこうぐん)

 

長いですね。

通常、SFTSと略します。

 

Severe = 重症

Fever  with = 熱性

Thrombocytopenia = 血小板減少症

Syndrome = 症候群

 

ですから、SFTSです。

 

病原体はSFTSウイルス。当初

「ウイルスを持つマダニが人を刺して感染が成立する」

と考えられていました。

ところがこのところ、

「マダニを介さずに感染する」

という事例が報告されるようになってきました。

 

実際の例を見てみましょう。 

 

・宮崎県内の女性獣医師(40)がSFTSを疑う猫を診察した。

・この猫からは翌日、宮崎大学にてSFTSウイルスが検出された

・この女性獣医師は診察から10日後、発熱と倦怠感を訴え、県内医療機関を受診

・高次医療機関にて複数回の検査を実施したところ、SFTSウイルス遺伝子を検出

・女性獣医師はその後回復した

・この女性獣医師の補助にあたった動物看護士も、接触から12日後に発症。

・症状は軽かったものの、SFTSウイルス遺伝子が検出された

・この猫は皮下点滴の際に出血したため、止血処置が行われていた。

・そのさい獣医師・看護師ともに手袋・マスクを着用していた。

 

咬まれたとか、なめられたとかではありません。

手袋、マスクを着用していたにも関わらず、

猫に接した人間二人がともに感染しています。

 

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2017年には猫からの感染が強く疑われる症例で死者も出ています。

 

www.nikkei.com

 

ともかくこのSFTS

従来言われていたよりも感染能力が高い、

という可能性が出てきました。

 

まだ全容の明らかでない感染症です。

ボランティアの皆さんはじめ、屋外の動物、

特に病気の動物と接する機会の多い方は、

最新の情報を収集するよう心がけましょう。

 

明日また、要点をまとめます。

ボランティアさんや抵抗力の弱い子供たちの

命に関わる事ですので、しばらくお付き合いください。

 

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