南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

気象病と動物

季節の変わり目、このところ
「気象病(きしょうびょう)」
という言葉がよく使われます。

これは特定の疾患を指すのではなく、
「気象変化よって症状が出現・悪化する疾患」
の総称です。

例えば曇りの日は膝が痛いとか、
雨の日は頭痛が起きるといったようなことです。

ただこれはあくまでも医学の概念で、
「それが動物にもあるか」
と言うと研究はまだまだこれからの話だと思います。

さて、私はこの「気象病」、
経験的に動物にもあると思っています。

特に老猫の場合、悪天候が続くと下痢を起こしたり
食欲が落ちたりする例をよく見ます。
先日の往診先でも老猫が2日ほど便秘になっていました。
そういえば、確かにこのところ悪天候でした。
この猫の飼い主さんは胆嚢に病気をお持ちなのですが、
天気が悪い日は患部が痛む、とおっしゃいます。
これはあくまでも一つの例に過ぎないわけですが、
飼い主さんと動物の体調がリンクすることは確かにあります。
それが天候のせいだと仮定すると
すんなり理解できる症例もまた、あるのです。

ちなみにこの辺りは往診ならではの話で、
普通は動物病院で
「飼い主さんの体調はいかがですか」
と獣医師が聞くことはありません。

ところが往診だと、往診を頼む理由の一つに
「飼い主さんご自身が療養中である」
という状況が入ってきます。
次の往診日を決めるにしても、
どうしても人と動物両方の体調を考慮せねばなりません。
そうすると、
「ありゃ、そろって食欲不振ですか」
というパターンにもしばしば遭遇するわけです。

さて「なぜ気象病が起きるのか」については、
医学分野で研究が進んでいるようですので
ここでは触れません。

ただ私は、動物にとっては
「気象病はプラスの側面がある」
と考えています。

つまり、動物にとっては、
悪天候は多くの活動に無駄を生じさせます。

一番単純な例を言えば、雨に濡れれば体温が下がり、
それを正常に戻すためのカロリーを余計に消費します。

もちろん多くの動物は多少の雨では体が濡れないように
毛が水を弾き、密集した毛が雨滴の浸透を防ぎますから、
体温の面だけを考えていたのでは、
少しの雨では大きな問題はないとも言えます。

しかし、多くの動物は雨の日に活動を控えます。
たとえば、雨音は捕食者の接近音を消します。
食べられる側にとっては活動リスクの高い日です。
かと言って捕食者もまた、視界の不良や強風による獲物の匂いの拡散に悩まされるでしょう。
お互い、うまくいかない日ということになります。

「雨の日はおとなしくして、体力の消費を抑えよう」

という戦略は理にかなっているように思えます。

逆にもし、
「雨の日は腹が減ってしかたがない」
という動物がいたら、相当苦労するでしょ
う。

ですから動物にとっても
「気象病に類する症状はある」と思いますし、
その症状が出る理由を考えると、そこに
ある程度の理屈は通っているように感じます。

さて、「文明を獲得した動物」である人間は
悲しいかな、雨の日も活動せねばなりません。
多くの動物が持つ生理的な制約から
抜け出すことは可能なのでしょうか‥‥。


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