南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

停まっている車と猫

往診を終えて車に乗り込もうとすると、
すでに猫が乗っていることがあります。

もちろん助手席に座っているわけではなく
車の上に。
温かいですからね。

猫は、どこかで見ていて
「ちょうどいい車が来た」
と思うとそっと近づいてきます。

「猫バンバン」という言葉もあります。
冬場、猫は車の熱を求めて寄ってきます。
エンジンルームはとても温かいので、
入り込んで長居をしてしまいます。
そこで発進の前に、車体をバンバン叩いてやります。
これで猫が巻き込まれる事故を防ぐ、
というのか猫バンバンです。

ところで私は、
「夏にも同じような危険があるのではないか」
と考えています。

皆さん、少し想像してみて下さい。
暑い日、あなたは車を停めました。
駐車スペースにはバックで停めます。
電話を掛けたり、スマホをいじったり。
暑いので、カーエアコンはつけたままです。
そこへ猫がやって来ました。

車の下に影ができています。
猫はそこに寝転がります。
しばらくゴロゴロと身体を地面にこすりつけ、
スヤスヤと寝てしまいました。
暑い日のこと、身体を開いて手も足も伸ばします。

さてしばらくのち、あなたは車を動かします。
エンジンはつけたままでした。
バックで停車しましたから、
前方に障害物がなければすぐに発進します。
警告音も鳴りません。
このとき、猫は退避行動の時間がありません。
急いで逃げようと身体を起こしたとき、
すでにタイヤが‥‥!

‥‥と、
これはあくまで私の仮説です。

ただ、どうも気になるのです。
沖縄の観光地はレンタカーでいっぱいです。
観光客からのおこぼれ目当ての猫も寄って来ます。
ある観光地の駐車場で、
脚先を怪我していたり、欠損していたりする猫を
複数見かけたことがあります。

これは他の地域でも起こっているのか、
私の杞憂に過ぎないのか。

とにかく、車が静かに走る時代になりました。
スマホが定着し「ちょっと作業してすぐ発車する」
という行動様式もごくありふれたものになりました。
夏は昔以上に気温が上がり、日影が必要になります。
猫にとっては対応しづらい時代の到来です。

停車中の車であっても、
猫は事故に巻き込まれる可能性があるのでは?
仮説に過ぎませんが、そんな気がします。

もちろん、一番何とかすべきなのは
「駐車場を野良猫がウロウロしている」
という状態ですが‥‥。