南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

獣医学と料理 (4) 〜重症の軽症例?〜

突然ですが、明治の「スーパーカップ」。


(出典:https://www.meiji.co.jp/sweets/icecream/essel/essel/)

150mL入りが主流のラクトアイス界において、
200mL入りを誇る、まさにスーパーサイズな存在。
しかし、こんなのもあります。


(出典:https://www.meiji.co.jp/sweets/icecream/essel/essel/)

スーパーサイズのミニです。
結局のところ、大きいのか小さいのか‥‥。


今日は、そんな話をします。


気温が上がってくると、マダニが活動を始めます。
するとマダニ由来の感染症について、一般の方が報道で目にする機会も増えてきますね。

この重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)
については以前にもこのブログで触れました。

致死率が約16%という、非常にリスクの高い動物由来感染症です。

上の記事では
マダニ→ヒト
という感染経路ですが、

マダニ→ネコ→ヒト
マダニ→イヌ→ヒト

という感染経路があることがわかっています。

だから動物のマダニ予防が必要になってくるわけですね。

さて、この病気のことを説明する側の人間として、厄介だなと感じることが1つあります。

この病気のネーミングについてです。
重症熱性血小板減少症候群」

ここでややこしいのは、
「全ての症例が重症化するわけではない」
ということです。

いわば
重症熱性血小板減少症候群の軽症例
というものが動物においてもヒトにおいても存在するということです。

つまり、
「ちよっと具合悪そうだけど、そこまで臨床症状も出ていないし、血小板も下がってないからSFTSではないだろう」
と見なされる症例の存在です。

しかしこれは、
「軽症例だったら騒がなくてもいいじゃない?しばらくしたら治るんでしょ」
ということではありません。

「軽症例とはいえ、そこで地域限局的に、致死率16%の感染症が発生している」
「その地域にいる別個体は重症化する可能性がある」

ということが見過ごされてはいけません。
ですから、早期に対応を取る必要があるわけです。

という訳でスーパーカップミニを見ると、ついつい
重症熱性血小板減少症候群の軽症例
のことが頭に浮かんでしまいます。

仕事のしすぎかな‥‥。





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