さて、ハエの話をしようか‥‥。
今日は「ハエ」のお話をします。
このところ、ハエにまつわる往診が立て続けにありました。ハエの生態について知識がない飼い主さんもいるようですので、ここらでまとめておきましょう。
ちよっと気持ち悪い話かも知れませんが、大事なことです。
下の写真は、実際に現場で撮ったものです。
傷口にハエがとまっています。
ハエ周辺の背景を白黒に画像加工してありますが、苦手な方は上手にすっ飛ばして下さい。
【傷口にたかるハエ】
例えば若い世代を中心に
ハエの幼虫を何と呼ぶか、それがどのような形をしているのか
を知らない人がいらっしゃいます。
それだけ世の中の衛生状態が良くなったと言えばそうなのですが、「ウジ」を知らない飼い主さんに出会って驚くことがあります。
以前あった依頼では、飼い主さんから
「変な虫がお尻の穴から出てくるんです」
「回虫かな?長いですか?」
「短いです、どんどん出てきます!早く来てぇぇ!モソモソ動いてるうぅぅぅ‥‥!」
行ってみるとウジでした。
調べてみるとお尻の近くに化膿した箇所があって、そこにウジがわいていました。
そのウジが今度は肛門から犬の体内に侵入。
肛門から再び外に出てきたウジを飼い主さんが目撃してパニックになり、電話して来たわけです。
「ウジですよ、これは」
「何ですかウジって‥‥‥虫?」
「ハエの幼虫ですよ」
「げーーーーーーっ!!!!」
ウジは、ハエの幼虫です。
ハエが患部の周辺に卵を産み、それが孵化したものです。
ウジは患部を食い進みながら成長します。
やがてサナギを経てハエになります。
このときウジは、動物が生きていようがお構いなしに、表皮、真皮、皮下組織を消化吸収しながら奥深くへ侵入。外に出た個体は肛門からも入りこんで消化管粘膜を傷害します。
放置すると命に関わることは言うまでもありません。
悲しい話ですが開業以来、何例もウジにやられた動物を見てきました。
特に夏場はハエ・ウジにまつわる往診が多くなります。
そのうちの何割かは、驚いたことに
「ウジだらけなのに飼い主さんが気付いていない」
というパターンでした。
ですから、これは誰にとっても他人事ではありません。
次回
「なぜウジにやられてしまうのか」
「なぜ飼い主さんは気付けないのか」
について、実際の症例を挙げて解説します。
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