南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

日本人の動物観

沖縄を台風17号が通過中。
毎度毎度のこととは言え、こればっかりはどうしようもありません。

台風とからめて、「日本人の動物観」についてのお話をします。

ということで、そのお話に欠かせない人物にご登場願いましょう。

和辻 哲郎(わつじ てつろう)
1889年- 1960年 : 哲学者、倫理学者、思想家。

彼は『風土』(1935年)の中で「風土」「人間の性格」の関係性について述べ、これを3つに分類しています。

この考え方は日本人の動物観を理解する上で大変重要です。
ともかく3つの分類をみてみましょう。


1.モンスーン型
日本はこの地域に属します。
豊かな自然や多様な生物相を有しますが、台風や洪水・地すべりなどの自然災害の多さが特徴です。
このような風土では、人は「自然の恵みへの感謝」と「自然への畏怖の念」を同時に持つことになります。
人間は自己の小ささを自認し、「受容的・忍従的」な性格になることでしょう。


2.砂漠型
とにかく、自然からの恵みの乏しい地域です。
人々は自然と戦い、わずかな土地をめぐって他の人々とも戦わねばなりません。
人々は生き延びるために偉大な指導者のもとに団結し、その命令を絶対的なものとして行動するでしょう。
この風土では、人間は「戦闘的・服従的」な性格になることでしょう。


3.牧場型
ヨーロッパ地域が該当します。
年間を通して劇的な気温の変化や風水害に見舞われることが少ない地域です。
ここでは自然は人間にとって制御しやすい対象であり、牧場で家畜を計画的に育てることができます。
つまり「自然というものは、だいたい人間の思い通りになる」という考え方が支持されるわけです。
この風土では、人間は「合理的」な性格になることでしょう。


これらの考え方は、無意識的に動物に対しての考え方・接し方に反映されます。

日本はモンスーン型で、自然(動物)は我々に恵みを与えてくれるものであると同時に、敬うべき対象でもあり続けました。

日本人は鶴をワナにかけて獲ろうとする民族であり、憐れんで逃がしてやる民族でもあります。

カメをいじめる民族であり、それを助ける民族でもあります。

数々の民話や昔話で動物は人と対等に話し、時に恵みをくれ、時に人を破滅させます。


私もこの風土に暮らす者として、なすすべもない台風通過のたびに
「自然にも動物にも、謙虚にならにゃならんな」
と思いますが、皆さんはいかがでしょうか。





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