南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

ヤギを押す話

今日はヤギのお話です。

ヤギの往診がたまにあります。

病気として一番多いのは下痢で、
たいていは糞便中に寄生虫がいます。

脚の関節炎も多いですね。
これは関節が腫れるので見ればわかります。

ただ、関節炎はどうやら痛みが出てから
腫れるまでには時間差があるらしく、
「どうもびっこをひいているような」
そんな気がするようなしないような‥‥
という状態を経てから腫れてくるようです。

この腫れる前の関節炎を見抜いて
早めに治療にかかるのが難しいわけです。
とは言え、方法が無いではありません。

ヤギの前に回り込み、
ツノを両手でぐっと下へ押さえます。
そのままヤギを後ろへ後ろへ押していきます。

ヤギも「何しやがる」
とばかりツノを振り上げつつ前進してきます。

それを上から押さえながらくい止めます。
押しては押されて、押されては押し返し。

健康なヤギは、このやりとりを楽しみます。
しかし脚に痛みがあると、
この「押し返し」の力が弱かったり、
押し返してこなかったりします。

すると、
「あまり腫れていないが関節が痛いのかも」
と推察することができます。

治療期間中も、ときどきこの
「押し返しごっこ
をしながら回復の度合いをはかります。

ただ、ヤギというのは結構危険な動物です。
不用意に身体検査を試みて
逆に自分が怪我をすることのないよう、
十分に気をつけましょう。