南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

動物への感染について 新型コロナ続報④

この新型コロナウイルス感染症については未知の部分が多く、情報が日々更新されていきます。 例えば、大手の動物臨床検査会社である「アイデックスラボラトリーズ」は定期的に新型コロナ情報を更新しています。 このサイトには、現時点(2020年4月26日)で以下…

武漢 : 猫での感染拡大? 新型コロナ続報③

中国の武漢で原因不明の肺炎が報告されはじめたのが2019年の12月ごろ。 それが、こんにちの新型コロナウイルスによる騒擾と混乱につながったことは言うまでもありません。 そして今月、バイオアーカイブ(bioRχiv)上に 「武漢で同じウイルスが猫の間に広がり…

ヒトから虎へ? 新型コロナ続報②

前回、「ヒトから猫へ」そして「猫から猫へ」新型コロナウイルスが感染したというニュース記事を補足しました。 このとき、より慎重な検討が必要だと書きました。 ・例数が少ないこと ・多角的に検証された臨床例ではないこと そのような理由からでした。 ヒ…

猫から猫へ? 新型コロナ続報①

「猫から猫へ新型コロナウイルスが感染する」という報道があります。 2020年4月1日、イギリスの大手一般紙「ガーディアン」が報じました。 記事から抜粋すると The team, at Harbin Veterinary Research Institute in China, found that cats are highly sus…

猫のコロナウイルス感染症

今日は猫のコロナウイルスのお話をします。 猫にもコロナウイルス感染症があります。 検査項目にも、この通り。 しかし、「猫コロナウイルス感染症」という言葉はあまり聞かないような気もします。 では、この病名はどうでしょうか。 猫伝染性腹膜炎。(ねこ…

猫、ネズミ、そしてあの長いやつ

豚コレラも終息に向かいつつあるようで、ひとまずホッとしています。 家庭や学校の動物を診るのが私の仕事ですが、今回のような家畜の伝染病が対岸の火事かというと、必ずしもそうではありません。 例えば。 ノラ猫に関する苦情が頻発しているような地域があ…

猫と「みんなの願い」

前回の投稿に対して、実に様々な意見をいただきました。 そこでひとつ、短いお話を紹介したいと思います。 ある日、人々の心の中に声が聞こえてきます。 神の使いと名乗るその声は、 「重大なお知らせがある」 と語りかけてきます。 ・地球は誕生から、宇宙…

猫のエサやり問答 (2)

前回の投稿について、少し書き足しておきましょう。 まず、この写真を見てください。 この高齢の女性は一人暮らしで、膝には人工関節が入っています。 奥に猫が見えますが、この猫はさくら猫です。 さくら猫については以下をご参照ください。 彼女は近所の猫…

猫のエサやり問答 (1)

往診中、少し時間が空くことがあります。 公園の駐車場に車を停めて、少し身体を伸ばそうと車外に出ると。おやおや、まただ‥‥。 ここは海岸沿いの大きな公園。 最近、野良猫が増えています。 あたりを見回すと‥‥。 むむっ、いました。 キャットフードを撒い…

猫が食べてはいけない生きもの in 沖縄

那覇新都心。 沖縄の経済、文化を牽引する地域です。 (Wikipedia) 人口も交通量も多いこの街にも、たまに往診に来ます。 すると‥‥。 む? ビルの駐車場に‥‥ 何かいるぞ? 何かな? 動かないな。 !!!! 動いた! そこそこ速い! この生き物は‥‥ 沖縄の方言…

子猫を助ける小さな手

トキソプラズマ症のお話を続けている途中ですが、少し猫と子供のお話を挟みます。 まず、この写真。 一昨日、私が往診中に出会いました。 この子たちは、二匹の猫のもらい手を探して町の中を歩いています。 子供たちそれぞれの家では飼えない、ということで…

猫エイズ 〜内弁慶なウイルス〜

最近猫エイズをよく診るな‥‥。 飼い主さんにも「詳しいことはブログに書いておきますね」と言ったんだよなぁ。 早く書かないと‥‥書かないと‥‥。 グゥグゥ‥‥。 「起きてください、起きてくださいよ」 「ハッ!寝てたか!‥‥ってあんた誰や」 「猫エイズウイル…

猫エイズ 〜まず冷静に〜

このところ、猫エイズを診る日が続いています。 抗生剤を投与してもなかなか鼻水がおさまらない、 食が細くて他の子猫より発育が遅れている、 こんなとき怪しいなと思って検査すると猫エイズ陽性の場合があります。 よく誤解されていることですが猫エイズウ…

TNR、さくらねこ という言葉

昨日は午後から南城市立玉城(たまぐすく)中学校に講話に行きました。ちなみにその5分前まで玉城幼稚園にいました。 海の見える素敵な幼稚園です。 ここでは子ウサギを診ました。 さて玉城中学校には「ボランティア部」があって、今回そこからのお招きでやっ…

猫の手汗

二週間ほど前に、 「猫はほとんど汗をかかない」 ということを書きました。飼い主さんから 「うちの猫は手に汗をかきますが‥‥」 という質問があったので、ちょっと補足します。人間の場合、「エクリン腺」から分泌される汗が体温を下げる働きをするわけです…

猫の惑星?

とにかく、のら猫が多い地域というのがあります。 きのう私も噂の現場を確認して来ましたが、 確かに驚きの光景でした。 一瞬、猫の惑星に降り立ったのかと思いました。実際のところ、 「これはもう、自治体が動くしかないだろう」 というレベルに達している…

「猫が落ちました!」

昨日のこと。 「ベランダから猫が落ちました!」 というお電話がありました。このような時はもう一刻も猶予もないですから、 往診の到着を待つ前に治療を受けさせるしかありません。 レントゲンも撮らないといけませんし、 命が助かっても入院の必要があるで…

みんな、同じ夢を見ている

ここに、野良猫がいるとします。 「かわいそう。お腹すかせて‥‥」 と思う人。 「シッシッ、あっちいけ!汚い!」 と思う人。猫好きの人。 猫嫌いの人。 お互いに、相手を批判します。しかしよくよく考えてみると、 両者は対立する必要がないのかも知れません…

猫は汗をかく代わりに‥‥

昨日、猫が毛をなめる理由について書きましたが、 少し、補足しておきます。猫は体温調節のために毛をなめることがあります。 そもそも、猫はヒトのように汗をかけません。 その代わりに毛をなめます。 唾液の気化熱で体温を下げているわけです。 これは、猫…

猫が毛をなめすぎて‥‥

おっ! テーマにピッタリの写真が撮れそうだ! ‥‥と思ったら目が合ってしまいました。 「猫が毛をなめること」 について書こうとしたのですが‥‥。ともかく、猫は、毛をなめます。 リラックスして毛づくろいをする事もありますし、 逆にストレスを感じた時に…

猫の写真をかわいく撮るには

ボランティアさんが里親募集のために 犬や猫の写真を撮るとき、 ほんとうに何枚も何枚もお撮りになります。右から左から、正面から横から。お見合い写真のようなものですからね。 その子の一生が掛かっているわけですから。 私も診察の手を止めます。一つア…

猫のオッドアイ

以前「猫の毛色と事故のこと」で少し触れたのですが、 「オッドアイ」(Odd-eye) という言葉があります。左右で目の色が違うことを言います。 虹彩異色症と呼ぶこともあり、白猫に特に多く現れます。きのう、犬を診に行ったときに偶然現れた、 さくらカット…

猫と洗濯ネット

猫の診察をするとき、重宝するのが 「洗濯ネット」です。 あらかじめ猫を入れておいてもらえると 到着してすぐ診察を始められますし、 簡単な処置ならネットに入れたままでできます。 先日はファスナーを少し開けて、 外傷を負った猫の患部をそこから出して…

猫と魚の大事な話 (2)

昨日、猫に魚だけ与えていると 「黄色脂肪症(おうしょくしぼうしょう)」 になるリスクがある、というお話をしました。 特に、青魚が危ないのでしたね。oushinjuui.hatenablog.com この「黄色脂肪症」、 猫の病気の中でもわかりやすいネーミングの一つです。…

猫と魚の大事な話

飼い主さんから 「猫に刺身をあげてもいいでしょうか」 というご質問をいただきました。今日はこの点について解説します。 まず、下の缶詰を見て下さい。 (楽天市場)まぐろだけ、と書いてあります。 あ、いや。よく見ると、 「入っているのは新鮮なまぐろと…

猫の事故と毛色のこと

昨夜、猫の交通事故に対応しました。 事故がおきると、事故にあった猫はもちろんですが 車を運転していた方も傷を負います。心の傷です。深くご自身をお責めになる方もいます。 そこで今日は、猫の毛色の話をします。猫は、捕食動物です。 獲物に見つかって…

猫と数学的帰納法

タイトルで諦めた方も多いかと思いますが‥‥。とりあえず、書き始めてみます。「数学的帰納法」 という証明方法があります。 わかりやすく言えば、・一番はじめのドミノが倒れることを示す ・次に「どのドミノでも倒れる」と仮定する ・「そのときは隣のドミ…

黒猫の「キキ」が語ること

この子は、往診先の黒猫です。 名前は「キキ」。ん?? と思った方。 そうですね。映画「魔女の宅急便」では 主人公の女の子が「キキ」で、 黒猫は「ジジ」です。とすると、 写真の子の名前は「ジジ」なのでは? そう思いますね。でも、この子は「キキ」なの…

オス猫と宍戸錠

さて、今日は写真からいきます。 オスでしょうか、メスでしょうか。正解は、 オスです。この子は往診先の駐車場にいた野良猫。 このあとすぐ逃げ出しましたが、 しっかりタマタマがついていました。 間違いなくオスです。しかし猫を見慣れた人からすると、 …

高齢猫の多飲多尿

日付が変わって、ようやく往診が終わりました。 最後は20歳の猫でした。 20年前と言えばイチローがオリックスで活躍して、 ヤマンバギャルが世の中を闊歩していた頃です。 最近の猫は本当に長生きです。さて、 「高齢の猫が水をガバガバ飲み、尿量も多い」 …