事件簿
秋から冬にかけて、往診中にトックリキワタの花に目を奪われます。 トッキリキワタは中南米原産。 別名「南米ザクラ」。 沖縄では街路樹としてもよく見かけます。 さて数年前のある日、私はトッキリキワタの木の下で少しばかり休憩をしていました。 と、そこ…
夕方。 その日最後の往診も終わり、自宅に車を走らせる途中。 男性の声で、何とも恐ろしい電話が掛かってきました。 「部屋中、血だらけだ!血の下痢をしてる!」 ただごとではありません。 「血便ですか?」 「そう、すごい量だ‥‥!腸みたいなのも出てる」 …
ある夜。 遅くまでかかった往診の帰り。 携帯が鳴ります。 あわてた女性の声。「道路脇に、車にはねられた犬がいます!」 「どこか近所の犬ですか?」 「知らない犬です!足を轢かれてます!」交通事故。 往診での対応が難しい症例です。 無事に見えても内臓…
もう何年前になりますか。 那覇市の大道(だいどう)あたりへ往診に行った時のことです。往診先には老犬がいました。飼い主のAさんも高齢の女性です。お一人でこの子を介護していましたが、私がお邪魔している時間にも、惣菜のおすそ分けだとか野菜を持ってき…
おととい、マリ共和国出身の京都精華大学学長、ウスビ・サコ氏の記事を読みました。「違いとともに成長する」 この考え方は非常に共感できます。それで、ふと思い出したことがあります。 私がまだ大学生だった頃のこと。 忽然と姿を消し、そして突如再び現れ…
ぐっすりと眠る二匹の子犬。 心配そうに見つめる母犬。 一見、平和な光景です。 しかしこの写真、見逃してはいけない点が 三か所あります。 さて、どこでしょう。 正解は、こちら。手前の子犬はシッポが途中で細くなっています。 そこだけ、毛が無いのです。…
那覇市の一角。 近くを国道が走り、ビルの向こうに都市モノレールの高架が見える市街地。ところが角を曲がるとそこに、 昭和が置いてけぼりをくったような一軒の家。ボランティアさんの依頼を受けての到着です。 保護犬の診察のために来ました。 飼い主さん…
住所さえわかれば現場に到達できる、 実に便利な世の中です。とは言え。 予約時に、こう言われる事があります。「カーナビの通りに来ると変なとこに着きますから、近くに着いたらお電話下さい」なるほど、そういうこともあるでしょう。 念のため、ひとつ確認…
「もう、どうしたらいいのか」電話を掛けてきたのは高齢の男性です。 か細く落ち込んだ声。 何の相談でしょう。「川に、犬と一緒に身を投げようかと」驚いて、事情を聞きます。「犬の安楽死を断られるのです。私も病気で、先週、いとこも亡くなって」要領を…
毎年、この時期になると思い出すこと。 まだ、沖縄で往診を始めて間のないころのお話です。「来月の往診、15日ごろ伺いましょうか」 「先生、15日は16日ですよ」 「えっ??」 「16日は、忙しいです」 「いや、ですから15日に伺えればと」 「15日は16日なん…
きのう沖縄は風も強く冷たい雨で、 往診中もずいぶん濡れました。 検査や治療は屋内でやりますが、 薬剤や機器の積み下ろしの時はどうしても濡れます。 さて、こんなずぶ濡れの日に思い出すことと言えば‥‥。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 深夜の人だかり。 市街地のアパ…
昨日の「往診獣医の事件簿3 〜犯人はどこに 前編〜」 からの続きです。 若い犬。 突然の嘔吐。 震え。 神経症状。 若い犬がとつぜん症状を呈することはあります。 多くの場合、急性感染症が原因なのですが・・・。 しかし、 「突然の嘔吐・震え・神経症状」…
ここは、沖縄本島南部、糸満市の果樹園。 苦しんでいるのは、一歳にもならない琉球犬です。 子犬ではありませんが、まだ幼さが残ります。 直前までとても元気だったといいます。 それが、突然の嘔吐。 小刻みな身体の震え。 横になって動きたがりません。 促…
今日はヤギの話をします。 ここ沖縄では、ヤギがたくさん飼われています。 ある夜のこと。 離島から、相談がありました。 「ペットのヤギが苦しそうにしている」 ということです。 そこは沖縄本島から船で行くしかない島です。 ともかくお話を聞きます。 さ…
往診をしていると、ときに不思議なことに出会います。 皆さんは、狂犬病の予防注射のあとに受け取る 「済票」(ずみひょう) というものをご存知でしょうか。 市町村から発行される、小さな金属のプレートです。 ちなみに那覇市のはこんな感じです。 さてその…