南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

往診のとき気になる地名

往診中に

「どうにも気になって仕方ない地名」

に出くわすことがあります。

特に沖縄は漢字の読みも独特ですから、

私の様な内地出身の人間は大変興味をそそられます。

 

‥‥というわけで、

今日は「新里坂」について。

これは沖縄県南城市にある坂道です。

高低差は、実に約150m。

1.2km続きますが、曲がりくねっているので

上から見ると崖のような地形です。

 

さて、この「新里坂」。

普通は「しんざとざか」と読むでしょう。

しかし沖縄県民、とくに県南部の方は違いますね。

看板がありますから、読んでみましょう。

 

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もうちょっと近寄ってみます。


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「坂」を拡大。

 

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「しんざとざか」ではなく、

「しんざとびら」。

 

これだけだと、

「ああ、沖縄は漢字の読みも違うのだなあ」

「坂のことをビラと言うのか」

で終わります。

 

しかしここで、ウィキペディア

アイヌ語の語彙一覧」

に目を通すと不思議なことに気づきます。

 

 

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急峻な傾斜のことを、

琉球の人たちは「ビラ」と呼び、

遠く北方のアイヌの人たちは「ピラ」と呼んだ。

 

私はこのシンザトビラを通るとき、

この長い坂がとてつもなく遠い所から延びてきて

そしてはるか遠くまで続いているような、

そんな不思議な感覚に襲われてしまいます。

 

皆さんも新里坂を通過する際には、

ぜひ歴史に思いを馳せてみて下さい。

ただし、安全運転で‥‥。

 

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