南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

疝痛とは

「一般の方にはあまり聞きなれない言葉」
が使われているニュースです。

ケイティブレイブという馬が
疝痛(せんつう)に見舞われ出走取り消し、
というニュースです。

この「疝痛」という言葉は、
普段あまり聞く事がないと思います。

これは非常に大まかな呼び名で
腹部がキリキリと刺すように痛む、
という症状があると用いられます。

じゃあ痛いのはどこなのか。
胃なのか、腸なのか。
腸なら、どの部分か。
ねじれているから痛いのか、
寄生虫がいるから痛いのか。

全部ひっくるめて、
疝痛」です。

今回のケイティブレイブという競走馬も、
「原因は不明であるが腹痛があった」
という状況だったと思います。

馬は解剖学上、非常に腹痛を起こしやすい動物です。
草食動物ですから腸は大きいわけですが
にもかかわらず、あの運動量です。
かなりの重量の腹部臓器が激しく上下運動しますから、お腹も痛くなるでしょう。

私も昔、毎週のように馬の内臓を診ましたが、
「よくこれだけの物をお腹に容れて走るなぁ!」
と感慨深かったものです。

この疝痛の中でも腸が捻転した場合の腹痛は
「変位疝」と言って、命に関わります。

また便秘の時の痛みを「便秘疝」と言ったり、
寄生虫の感染による疝痛を「寄生疝」と呼んだりします。

この疝痛という言葉、
馬に対して多く使われる用語ではありますが
馬以外の動物にも疝痛は起こります。

実際、下痢止めの薬など動物用医薬品で
犬や猫用の薬にも疝痛という表現は使われます。

「馬の腹痛に対してのみ用いられる」
というような解説を目にすることがありますが、
他の動物に用いても間違いではありません。
もちろん、人間にも使われる用語です。


(引用:症状からすぐにひける家庭の医学事典)

ただ、あくまでも
「痛みの状態を表す言葉」
であって、病名ではありません。

原因は胃捻転、腸捻転虫垂炎‥‥、
それは調べないとわかりません。
ということで、
疝痛のニュースがあったので補足しておきました。


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