獣医学と映画 (3) 〜遊星よりの物体X〜
北極近く、研究所が氷に埋もれた円盤を発見。
その内部から「物体」を発見して持ち帰る。
しかし「物体」の監視役が奇妙な影に襲われ‥‥、
というSFホラー作品です。
このように、
未知なるものはよく「X」と表現されます。
「容疑者Xの献身」、「X-MEN」‥‥。
獣医学にも、Xのつく病名があります。
「アロペシアX」。
限られた品種の犬にだけ現れる、
原因不明の脱毛症です。
「アロペシア」=「脱毛症」
「X」=「未知、原因不明」
という意味です。
とにかくポメラニアンに多いので、通称
「ポメはげ」と称されるほど。
痒みもなく、どんどん抜けていきます。
この病気、往診ではあまり遭遇しません。
もともと見られる症例数が限られますし、
ポメラニアン自体が沖縄には少ないような印象です。
過去に一度だけ診ましたが、
鑑別のためにいろいろと検査をしても
原因がハッキリしませんでした。
恐らくアロペシアXであろう、
ということでいくつかのビタミンを投与して
治療しました。
幸い、再び発毛が見られましたが
それが季節性のものだったのか謎のままです。
アロペシアXに関しては各種のサプリメントも
出回ってはいますが、まずは鑑別診断が重要です。
必ず動物病院で診断を受けましょう。
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