渡名喜島へ
昨日は狂犬病の予防注射をしに、渡名喜村に行ってきました。
毎年、沖縄県獣医師会から誰かひとり派遣されます。
これがフェリー琉球。
最終的な行き先は久米島ですが、私は渡名喜島までの船旅です。
遅刻は絶対に許されませんので、午前8時前には船に乗り込んでおきます。
船内は明るく開放的で、それほど揺れません。快適な船旅です。
洋上、那覇空港に向かう飛行機とすれ違います。「那覇はアジアの十字路」とはよく言ったものです。
約2時間後、渡名喜島が見えてきました。峻険な岩肌が見えます。
もともと渡名喜島は耕地面積が少なく、
このため歴史的に漁業がさかんです。
村民人口約300人のうち約100人が漁業関係者ということですから、いかに漁業が重要な産業かがわかります。
「あと1メートル!40センチ!20センチ!オッケーイ!!」
船員さんの声を聞きながら、よくこんな大きい船をぶつけずに港に入れるなぁと感心します。
那覇と久米島を結ぶ航路はこの渡名喜港を経由します。島には空港がないので、緊急時のヘリコプターを除けば船が唯一の交通手段。
海の荒れる冬季には数日間、船が出ないこともあるそうです。
渡名喜村役場。
ちなみに渡名喜村は沖縄県内最小面積の自治体。全国でも下から2番目の小さな村です。
役場で打ち合わせをして、いよいよお仕事開始です。
どこの家で犬を飼っているか役場の方が全て把握しているとのことで、1軒1軒訪ね、1匹1匹に接種していきます。
島の中には、家々の間を縫うように細い道が縦横に走っています。
実際に歩いてみると、家々には塀がわりにフクギが植えられ、並木に誘導されるように風が抜けていきます。
規模こそ違えど新宿のビル街を抜ける風のように、この道は風の通り道でもあるようです。
島内の案内地図を見てみると、島を貫いて風が抜けていくのがよくわかります。
さすがに日差しは強かったのですが、実に心地よい風が吹いていて快適でした。
村の先人たちの知恵なのでしょう。
とは言え、この幅では車がすれ違うことはできません。
一番広い道でもこんな幅です。
前から車が来たら角までバック。
飼い主さんの家の前まできたら、運転者も助手席の人も片側のドアから出入りします。
訪ねていっても飼い主さんが留守だったりするので、島の中を探します。
探しながら島の様子も見られて興味深いものです。
水の少ない土地なので、米は獲れませんがアワは獲れます。アワ畑というのは初めて見ました。
どういう意味かわかるでしょうか。
ほとんど外国語ですが‥‥。
おそらく「上原南風原殿内」‥‥かな?
地元の方に聞けば良かったですね。
100メートル級の山もあり、そこからの眺めは絶景です。
遠くに見えるのは座間味島ですね。
ホエールウォッチングで有名です。
砂浜もありました。
結局、接種すべきところは全て終えることができました。渡名喜村役場の皆様、ご協力ありがとうございました。
午後3時半、帰りの船が来ます。
金曜ということで、単身赴任で島に来ている学校の先生や、休日を本島で過ごす人たちと一緒に船に乗ります。
午後5時半、那覇の港が見えて来ました。
海から那覇を見る機会はあまりないですね。
これで無事、獣医師会の仕事はおしまいです。
ここから、自分の往診が始まります。
ちょうど帰宅ラッシュで、那覇市内の渋滞に巻き込まれてしまいました。
人も車も多すぎて、渡名喜島とのギャップがすごい‥‥。
渡名喜島は自然豊かで素朴な風景の広がる、ゆったりとした島でした。
皆さんも是非、訪れてみてはいかがでしょうか。