南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

夜に口笛‥‥蛇が出る?

ちょっと調べないといけないことがあって、久しぶりに疫学の勉強をしています。

疫学というのは「集団における疾病の発生原因や予防などを研究する」学問領域のことです。



これをしっかり勉強していないと、ある疑問に対して誤った結論を導いてしまいます。

たとえば、こんな話が有名です。

「アイスクリームを食べると、溺れやすくなる」

そんな馬鹿な。
もう少し詳しく見みましょう。

「A市でアイスクリームの売り上げと水難事故の件数を調査した。すると、アイスクリームの売り上げが良かった日は、水難事故の件数が増加していた。よって、アイスクリームは水難事故を引き起こす食品である」


一瞬「えっ!そうなの?」と思ったあなた。
あなたは素直ないい人です。
しかし、騙されやすいかも知れません。


この話は、ちょっと考えれば間違いだとわかります。

・アイスクリームの売り上げは気温が高ければ伸びる
・気温が高ければ水場のレジャー人口が増え、水難事故の件数も増える

つまり、アイスクリームの売り上げと水難事故の件数は「気温が高い」という共通の理由によるもので、両者に因果関係はありません。



動物にまつわる迷信にも似たような例があります。

「夜、口笛を吹くと蛇が出る」

本当でしょうか。

なぜこんな迷信が出来たのか、あるいは本当に蛇が出るのか。
私にもよくわかりません。

しかし、疫学的な手法を使えば推測は成り立ちます。

以下、あくまでも私見ですのでご理解の上お読み下さい。

まず、押さえるべきは、「この迷信は昔からある」と言うことです。
少なくとも、江戸時代にはあったようです。

当時の夜は、基本的に真っ暗
かなりの市街地でない限り、夜は周囲が見えなかったでしょう。

ところで、人はどのようなときに口笛を吹くか。
恐らく、何らかの作業中、あるいはリラックスしているときです。
真っ暗な中では作業もできませんし、口笛を吹くほどリラックスできないでしょう。

つまり、当時の状況下で夜に口笛を吹くと言うことは、
「何らかの理由で室内に明かりが灯っている」
ということだと推測できます。

それはまた、その人物が「蛇が出た」ことを認識できたことからも伺い知れます。
「少なくとも自分の周りが明るかったので、口笛を吹いた人物は蛇を見ることができた」わけです。



しかし当時のこと、必要最小限の明かりでしょう。
部屋の周囲は暗かったはずです。

さて。
そのような場合、昆虫が明かりに向かって飛来します。
これは公園の街灯とか、田舎道の自動販売機などをイメージするとよくわかります。
「そこだけ明るい」という場所には、昆虫が集中してやってきます。

虫が来れば、虫を捕食する生き物も来ます。
ヤモリやネズミなどが喜んでやって来るでしょう。
すると今度はそれを狙って‥‥‥、
蛇が出ます

ですから別に口笛を吹かなくても
「夜、局所的に明るければ蛇が来るはずだ」
という仮説を立てたのですが、どうでしょうね‥‥。

もし機会があれば試してみたいと思います。





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