南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

フィラリア症と腹水 (2)

前回、フィラリア症と腹水のお話をしました。

たくさんの方に読んでいただいたようです。

ちょっと補足しておきます。

 

腹水がたまってきても諦めずに、とは言っても

「腹水なんだか太ってるんだかわからない」

というパターンはありますね。

飼い主さんが的確に把握するのは難しいものです。

もちろん獣医師の診察を受ける事が何より重要ですが、飼い主さんに「おや、おかしい」と初期症状に気づいていただく事は大切です。

 

ということで、今回は

「お腹がふくれている場合、それが腹水によるものかそうでないのか」

を飼い主さんがチェックしやすいように、要点を述べておきます。

 

まず基本的に。お腹だけポコッとふくれていたら注意です。

ふつう、腹部にだけ脂肪が蓄積することはありません。太るときは、たいてい肋骨のところにも脂肪がついて、胸まわりも太くなります。

 

この画像を見てください。

ちょっとわかりづらいですが、よ〜く見ると肋骨が少し浮き出ています。

わかりにくければ、背骨の浮き具合を見てもかまいません。

背骨~肋骨にかけて、脂肪がほとんどついていません。

しかし、お腹は出ていますね。

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お腹だけポコっとしてるな、と思ったら犬の横にまわって、片側からお腹をポンポンと指の腹で叩いて下さい。

人差し指、中指、薬指をそろえて軽く太鼓をうつように。

このときもう一方の手の平は、犬のお腹の反対側に添えてやります。

 

つまり片方でポンポンとたたき、もう片方はその振動を感じるのです。

もし腹水なら、波動は「震え」を伴って伝わるはずです。つまり反対側に置いた手が、ボヨヨンという波動を感じるはずです。

 

もし、腸のまわりの脂肪が多いとか、臓器そのものが腫れている場合、振動はもっと密なものとして感じることができます。

 

もちろん、最終的には獣医師が診断すべきことです。しかし、小さな変化に一番気付きやすいのは飼い主さんです。

日頃からお腹を叩いて、こまめにチェックしてあげて下さい。

あれ?いつもと違うな?

という気づきが早いに越したことはありません。

 

もちろん、一番大事なのは、フィラリア症を予防することですが‥‥。

 

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