誤飲誤食、あわてない!
「うちの子が、ボールペンを飲み込んでしまいました!」
「大変、それはお困りでしょう」
「どうしたらいいのか・・・」
「大丈夫、かわりにこの鉛筆をお使いなさい」
というアメリカンジョークがあるそうですが、臨床の現場でそんなことを言っている余裕はありません。
一口に「誤飲誤食」といっても動物の場合、大きく二つのパターンに分ける事ができます。
ひとつは、
「飲み込む瞬間を飼い主が目撃していない場合」です。
例えば、
・うちに帰ったら観葉植物の葉が全部なくなっている
・焼き鳥がクシごと一本足りない
・農薬の袋が破られ、中身が散乱している
‥‥といった状況です。
こういったケースでは、発見された時点で事故は発生してしまっています。
結局、飼い主さんにできることは動物病院へ連れて行くことだけです。
二つめのパターンは、
「飲み込む瞬間が飼い主によって目撃された場合」です。
実際に遭遇した実例を挙げれば、
「散歩中にタバコを飲み込んだ」
「机の上に置いてあった人の薬を奪って飲んだ」
「部屋を掃除中に、落ちていた画鋲を飲んだ」
‥‥などです。
こういった例は日常的によく起こっています。
今回は、この「飼い主さんの目の前で飲み込む」パターンの対処法について述べます。
この場合、当然のことながら、事故がおこった瞬間は飼い主さんによって目撃されています。
そして、大抵の場合飼い主さんはこうおっしゃいます。
「すぐに口を開けさせようとしたのだが」
「すぐに声を上げて叱ったのだが」
「すぐに取り上げようとしたのだが」
「飲み込んでしまいました。。。」
と。
いかがでしょうか。
何が共通しているか、もうおわかりですね。
そうです。動物、犬は特に、
「取り上げられそうになると反射的に飲み込む」
という習性があります。
横取りされたらかなわん、というわけです。
ですから、
「あっ!いま口に入れた!」
と思ったら、まず冷静になることです。
そして素早く、しかしあわてずに座り
「おや〇〇くん、今いい物を食べたねえ」
と言いながらすっと口に指を入れ、頭をなでながら取り出してあげて下さい。
一番いけないのは、大声をあげて口元に飛びつくことです。これでは、人間だってとっさに飲み込んでしまいます。
何かとあわただしいこの時期、ご注意下さい。