南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

君は「肝蛭」を知っているか (2)

きのう、
『君は「肝蛭」を知っているか』
を書いたら1万を超えるアクセスがありました。

oushinjuui.hatenablog.com


動物由来感染症への関心の高さに驚くと共に
これで誰かの健康や命が守られれば良いな‥
と思います。


( 肝蛭の虫卵: Wikipedia)

さて、昨日お話ししたのはあくまでも
肝蛭(かんてつ)の一部分についてですので、
ちょっと補足をいれておきます。

と言っても寄生虫学が専門ではありませんので
基本的な事だけ触れておきます。

まず、肝蛭の成虫の場所です。
基本的には胆管です。
ただ胆管は一部が肝臓内にも入り込んでいることと、
肝臓実質を胆管に移動中の肝蛭もいますから
おおまかには「肝蛭は肝臓にいる」
という理解で良いと思います。

ところでその胆管は、腸(十二指腸)に
向かって伸びています。
肝蛭の成虫が卵を産めば、その卵は
腸管を通って糞便とともに外界に排出されます。

卵は、水中で孵化します。
孵化したものは「ミラシジウム」と呼ばれます。

さてこのミラシジウム、このままでは成長できません。
「ヒメモノアラガイ」という貝の中で成長します。
ただし地域によって貝の種類は少し異なります。
北海道では「コシダカモノアラガイ」という貝がこれに変わります。
最終的に貝の中で「セルカリア」という形態になり、
貝から出ます。
ちなみにこのとき、1個のミラシジウムから
数百個のセルカリアが発生します。

貝から出たセルカリアは遊走して、
水草にたどり着きました。
そこで再び形を変えます。
今度は「メタセルカリア」とよばれる形態です。
メタセルカリアは、
水草に付着したまま何かを待っていますよ‥‥。

「牛、来たー!」
メタセルカリアがそう叫んだかはさておき。
牛、鹿、ヤギなどが水草を食べるとき、
このメタセルカリアも一緒に口に入ります。

食道、胃を通ったメタセルカリアは小腸に到達。
そこで袋から出て、何と腸壁を突破してしまいます。
するとそこは腹腔内、ということになります。

腹腔内に到達したメタセルカリアは
肝臓の表面から侵入を開始。
そして肝臓の実質内を迷走しながら、
ようやく最終目的地である胆管に到達します。

私も実際に牛の検査に従事した経験がありますが、
総胆管に切れ目を入れると木の葉のような形をした
肝蛭が、ニョロニョロと出てきたものです。

ですからレバーを生で食べると、当然の事ながら
肝蛭も食べてしまう危険性があります。

また、メタセルカリアはクレソンやセリなどに
付着していることがあります。
ここからの感染も成立するので
十分な水洗いが必要です。

ということで、
ざっと肝蛭の生活環をまとめました。

誰かのお役に立つと良いのですが‥‥。



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