南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

カラスとクルミと古代オリンピック

たとえば、クルミを割ろうとする。
手元にカナヅチがない。
どうしようか‥‥。

高いところから落とせれば割れる?
二階から落としてみるか。
いや、もっと高い所からでないと。
5階?10階?
さすがに20階からなら。
よし、行こう!
‥‥ヒイヒイ、長い階段だなぁ。
しかしこの苦労でクルミ一個、割りに合うのだろうか‥‥。




実は、ハシボソガラスというカラスはこれと同じ事をします。
もちろん階段は上りません。
鳥ですから、空の上からクルミを落とします。
かといって、無駄に高い所からは落としません。
「まぁこの高さから落とせば割れるだろう」
という予測に基づいて行動します。
もちろん、割れないときもあります。
二度、三度と繰り返すこともありますが、かと言って極端に低い所から延々と落とし続けることはしません。
「最低限、この高さは必要」
というラインを持っています。


一方で、我々人間は具体的・客観的なデータを必要とします。
高度文明を獲得して以来、どうも数値で判断したり、逆に数値に左右されたりする傾向にあるようです。
しかし、それ以前の人類は他の生き物同様、経験と感覚によって行動を決定づけてきました。


例えば陸上競技の短距離種目で考えてみましょう。

2019年8月8日現在、男子100m世界歴代10傑の平均タイムは9秒74。
同じく200mは19秒49。
非公式な記録ではありますが、300mでは31秒16。
400mでは43秒47となります。

それぞれの平均秒速(1秒間に何メートル進んだか)を計算すると、

100m走:平均秒速....10.27m
200m走:平均秒速....10.26m
300m走:平均秒速....9.63m
400m走:平均秒速....9.20m

つまり100m、200mはほぼ同じ秒速が確保できるものの、それ以上になるとスピードが鈍化することがわかります。

ですから純粋に「最速の男」を決めようとすれば、レースの距離を100m〜200mの間に設定すれば良いことになります。


ギリシア、紀元前776年。
記念すべき第一回古代オリンピックが開催されました。

その短距離種目はスタディオン走」
1スタディオンの距離を最も速く駆け抜けたものが「最速の男」の称号を手にしたのです。

その1スタディオンを現在のメートル法に換算すると、約180m

ストップウォッチも無かった時代に、彼らは恐らく「100mと200mのあいだ」という最適解にたどり着いていたと考えられます。

10分の1秒、100分の1秒の感覚。
人間はその能力を失ったのか、はたまた眠らせているだけなのか。
大変興味深いところです。



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