【ご案内】 あなたが知らない食の世界 Vol. 3
往診獣医師の大場三緒子先生が3回目のセミナーを開催されます。
大場先生は、沖縄県の元食品衛生監視員でもあります。
今回のテーマはノロウイルス。
食中毒原因の上位ですね。
詳しくは下のご案内をご覧ください。
当日はビックリするようなノロウイルス食中毒の事例が紹介されるそうですよ。
また、嘔吐物の処理法や正しいトイレ掃除のやり方などの解説も‥‥。
ぜひ足をお運び下さい。
さて、このノロウイルスですが
「昔はこんなウイルス聞いたこと無かったな」
という方も多いように思います。
それもそのはず、アメリカで集団発生したのが1968年。
場所はオハイオ州ノーウォークでした。
このとき、地名にちなみ「ノーウォークウイルス (Norwalk virus)」と命名されます。
2002年、国際ウイルス学会がNorwalkのNorとvirusをつなげてNorovirus(ノロウイルス属)という名称を採用します。
この結果、従来は「ノーウォーク様ウイルス属」と呼ばれていたものが「ノロウイルス属」と呼ばれることとなりました。
ただ、これはあくまで属のレベルでのお話。
ノロウイルス感染症を引き起こすのは、ノロウイルス属に属するノーウォークウイルスです。
従ってノロウイルス感染症は、正確にはノロウイルス属のノーウォークウイルス感染症だと言えます。
いいじゃないの、ややこしい。
そう思う方が多数かと思いますが、これは非常にデリケートな問題なのです。
それはなぜか。
ICTV (国際ウイルス分類委員会) がリリースした文書を読んでみましょう。
ICTV also received a request from an individual in Japan to rename the genus Norovirus because of the possibility of negative associations for people in Japan and elsewhere who have the family name “Noro”.
「日本ほかの地域でノロという姓を持つ人々がいる。ノロウイルスという名前がネガティブに関連づけられる事から、ウイルスの名称を変えて欲しいというリクエストをある日本人から受けた」
ICTVにそう訴えたのは野呂さんという日本人。
「3人の子どもがいるので学校でいじめられてはかわいそうだ」
という親心からだといいますが‥‥。
さて、この訴えにICTVはきちんと回答しています。
その内容はと言うと
ICTV strongly encourages the media, national health authorities and the scientific community to use the virus name Norwalk virus, rather than the genus name Norovirus, when referring to outbreaks of the disease.
ICTVはメディア、国際医療当局、科学団体に強く促す。すなわち、病気の発生に際しては「ノロウイルス」という属名ではなく、種名である「ノーウォークウイルス」を使用すべきである。
というわけで、本来はノーウォークウイルスと呼ぶべきなのですが‥‥。
しかし、結局のところ世界的にも日本国内でも「ノロウイルス」が呼称として定着しています。
残念ながら野呂さんの願いが実現することは難しそうです。
それにしても、ちゃんと回答する国際ウイルス分類委員会は律儀な組織だなぁと思います。
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