猫エイズ　〜内弁慶なウイルス〜 - 南の往診獣医さんのブログ

最近猫エイズをよく診るな‥‥。
飼い主さんにも「詳しいことはブログに書いておきますね」と言ったんだよなぁ。
早く書かないと‥‥書かないと‥‥。
グゥグゥ‥‥。

「起きてください、起きてくださいよ」
「ハッ！寝てたか！‥‥ってあんた誰や」
「猫エイズウイルスですよ！我々について書くっていうから！」
「書くよ、今から書くよ」
「困りますよ！書かれると困るんですよ！どうせ予防法とか、我々の繁栄を妨げるような事を書く気でしょうが」
「正解」
「困る！何か別のこと書きなさい！ほら、失敗談とかを！」
「今日は猫エイズ書くよ、約束したから。お風呂入ってから書くよ」
「風呂！あれは嫌い！」
「なんで」
「我々猫エイズウイルスは、石鹸での手洗いにも結構弱いんです」
「あー、そうだっだ。ゴソゴソ」
「何やってるんですか」
「脱いだ往診着を塩素に漬けようかと」
「それはやめて！」
「またなにか」
「我々猫エイズウイルスは、塩素系の消毒薬にも弱いんですよ！」
「そうだったね、プシュ」
「何やってるんですか！」
「缶ビールでも飲もうかと」
「それもダメ！」
「またなにか？」
「我々エイズウイルスは、アルコールにも弱いんですよ！というかあんたお酒飲まないでしょ！完全に嫌がらせでやってるでしょ！」
「正解」
「困りますよ！我々は、猫の体外では非常に弱いウイルスなんですよ！大抵の消毒剤で死滅してしまうんですよ！」
「‥‥内弁慶‥‥」
「だから唾液による感染、これが我々の生きる道なのです」
「ケンカで咬み合ったらうつるよね」
「そう！猫のケンカ！ありがたい！」
「急に元気になってきたね」
「それから母子感染！まだ激しいケンカをしない子猫が、すでに感染していたりするでしょう」
「‥‥感染の話になると急に強気に」
「わかりましたか、我々の恐ろしさが。書くならぜひ、そこを書いて。消毒に弱いことは書かないで。いいですね！」
「それはそうと、きみ大丈夫かね」
「なにがです」
「途中から、塩素の上でしゃべってるよ」
「ぐふっ！」