獣医学と料理 (5) 〜スマホにラップを巻こう〜
運動会シーズン。
お弁当を作る機会も多くなってきます。
「スマホでレシピを見ながら‥‥」
という人も多いでしょう。
動物と暮らしている方も、最近はたいていスマートフォンをお使いになります。
獣医師が言ってしまうと身も蓋もありませんが、動物は決してキレイではありません。
私も往診先で動物に触れる際には使い捨てのグローブをします。
「うちの子はそんなに汚れてないぞ!」という方。
しかし、体表部位には常在菌がいっぱいです。
ですから動物を触った手でスマホを触ると、そのまま菌が移動することになります。
2015年にサウジアラビアのZakai 博士が行った研究では
「医学生105人のうち101人のスマートフォンから細菌が検出」されています。
(参考:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2213879X15000942)
もっとも、スマートフォンを定期的に滅菌器にかける人はいませんので、スマートフォンが常に無菌状態の方が不自然とも言えます。
ただこの研究を読むと、このとき105台のスマホのうち17台から「黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)」が検出されています。
黄色ブドウ球菌は紛れもなく食中毒菌です。
詳しくは食品衛生協会さんの解説をご覧下さい。
(黄色ブドウ球菌食中毒(知ろう!防ごう!食中毒 ) |公益社団法人日本食品衛生協会)
さて Zakai 博士の研究対象は医学生でしたが、
「周辺環境の細菌がスマートフォンを汚染する」
という点では
「動物を飼っている人」
にも同じことが言えるでしょう。
ということで私のオススメは、これです。
「スマホにラップを巻いただけ」です。
しかし「スマホでレシピを確認しながら料理」の前にこれをやっておけば
動物→スマホ→食品
という細菌汚染リスクを下げることができます。
ラップを巻いても、スマホは普通に操作できます。
料理中の水はねなどを防ぐ意味でも、調理中のレシピ確認はラップを巻いて行うと良いでしょう。
もちろん、ラップを巻いたからと言って動物を触った手でそのまま調理に移ってはいけません。
調理の前には、入念に手を洗いましょう。
では、安全で安心な楽しい運動会をお迎え下さい!
そう言えば私も無事、運動会が終わりました。
最後、6回目の跳躍で何とか制しました。
うさぎパワーです。