「種特異性」とは?
「この病気は人にうつりますか?」
飼い主さんからよく尋ねられる言葉です。
「種特異性」という言葉があります。
今回はこれついて書きましょう。
ある種の動物には感染するが、別の動物には感染しにくい場合、その病原体は「種特異性が高い」と表現します。
逆に多くの種にまたがって感染がおきる場合、その病原体は「種特異性が低い」ということになります。例えば、あらゆる哺乳類に感染する狂犬病ウイルスが該当します。
さて、では今回問題となっているコロナウイルスですが‥‥。
もともとコロナウイルスの種特異性は高く、種を越えて別の動物に感染することはまれだとされています。
・猫の伝染性腹膜炎
を挙げました。
これらの病気は、人にうつりません。
もう少し生物学的に解説すると、犬のコロナウイルスも猫伝染性腹膜炎ウイルスもα-コロナウイルスというグループに属します。
一方で、今回の新型コロナウイルス(2019-nCoV)はβ-コロナウイルスに属します。
他にγ-コロナウイルス、δ-コロナウイルスというグループが存在しますが、感染するのは鳥類と魚類です。
ですから、「コロナウイルスは種特異性が高い」という認識のもと、誤った情報に流されないことが大事だと考えます。
とは言え、このウイルスについては未知の部分も多いので、各自が慎重に情報を整理する必要があるでしょう。
非科学的な理由による不安視もいけませんし、根拠のない楽観もいけません。