南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

豚コレラを「読む」

しばらく、学校飼育動物に
かかりっきりでした。

その間に、
「豚コレラ」の感染が拡大していました。

今回は、
「豚コレラ
を読んでみたいと思います。

と言っても、
「日本を読む」とか、
「明日を読む」といった、
動向予測という意味ではなくて
本当にただ「読んで」みます。

「豚コレラ」。

読み方は、
「ブタコレラ」ではなく
「トンコレラ」です。

豚もたくさんの感染症にかかります。
すると、病名が
「豚ナントカ」
になります。

このとき、読み方が
「ブタナントカ」ではなく
「トンナントカ」
になる場合があります。

「豚コレラ
:トンコレラ

アフリカ豚コレラ
:アフリカトンコレラ

「豚丹毒」
:トンタンドク

などなど。

じゃあ「豚〜」という病名は全部
「トンナントカ」
なのかと言えば違います。
「ブタナントカ」
の読みになる病名もあります。

「豚赤痢
:ブタセキリ

「豚水疱病」
:ブタスイホウビョウ

豚流行性下痢
:ブタリュウコウセイゲリ

などです。

病名の読みに法則性があるわけでなく、
獣医学の慣習としてそうなっているようです。

私も先生や先輩がそう読んでいるので、
「ああ、これはブタではなくトンか」
と覚えていったものです。

これは他の動物でもこんな具合で、
例えば
「牛肺疫」が
「ギュウハイエキ」なのか
「ウシハイエキ」なのかは、
人がどう読んでいるか、
という観察で覚えるしかありません。
ちなみに正解は
「ギュウハイエキ」です。

ネットニュースに触れる機会が多い昨今、
「読み方」を知る機会は減っていますので、
今日は取り上げてみました。

事態の沈静化を祈っております。