南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

発表を終えて 〜二つのベクトル〜

獣医師会の発表が無事に終わりました。
「学校動物飼育支援 取り組みと対策
沖縄県の事例〜」
というテーマでお話してきました。

都道府県の獣医さんの意見も
直接聞けましたし、自分の中に
新しい発想が芽生えた瞬間もありました。

そして、
学校飼育動物というのは
「臨床」と「公衆衛生」の両面から
支援していかねばならないのだな、
と強く思いました。

そしてこの考え方は、
私の仕事と非常に親和性の高いものです。

私は臨床獣医師として働いたあと、
沖縄県職員として公衆衛生の仕事をしました。

今私がしている往診の仕事は、
このときのベクトルを足したものです。

臨床と公衆衛生。
通常、ひとりの獣医師が、
二つの領域にまたがる仕事をすることは
あまりないように思います。

しかし、往診ではそうはいきません。
往診先に猫がいる。
治療する。
そこで終わりません。
飼い主さんが妊婦さんなら、
トキソプラズマ症のお話をします。

友達にもお話してほしい、
ということになれば近くの場所をお借りして、妊婦さん方に動物由来感染症のお話をします。

学校飼育動物の問題もそうです。
毎回、うさぎを治して終わりではありません。
問題の深層にアプローチするためには、
校長室や、お役所に何度も赴く必要があります。

うさぎを治療する、
というのは臨床の技術ですが、
根底に必要なのは公衆衛生の知識です。

いま、「人、動物、環境の衛生」
に関わる者が協力する
One Health(ワンヘルス)という考え方が、
浸透しつつあります。
厚生労働省が普及・啓発を行なっており、様々な分野において連携を推進しています。

学校飼育動物を考える上で、
One Health の持つ意味は
これからより大きくなってくると思います。

では、もうちょっと勉強してきます。