南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

ハブは、なぜハブと呼ばれるのか

昨日、ハブのお話をしました。

今日は
「ハブ」
という言葉について考えてみます。

そもそもハブは、
なぜハブと呼ばれるのか。

古語拾遺(こごしゅうい)」
という古い書物があります。

この中にスサノオノミコト
ヤマタノオロチ
を退治する場面が出てきます。
有名なシーンですね。

さて。
この対ヤマタノオロチ戦で、
スサノオノミコトが装備していた剣の名前。

その名を、
「天羽斬(あめのはばきり)」。

「あめの」というのは、
天上から降された、という意味です。

「きり」というのはそのまま
「斬り」を意味します。

さて、問題は「はば」です。

この「あめのはばきり」は
天から降された剣であって、
それで斬るべきものが「はば」です。

スサノオノミコトは何を斬ったのか。
ヤマタノオロチ」ですね。

すると
ヤマタノオロチ」=「ハバ」
ということになります。

ドラクエ風に言えば、
「ドラゴンキラーは何を攻撃するための武器ですか」
:正解 ドラゴン

これと、
「アメノハバキリは何を斬るための武器ですか」
:正解 ハバ

は同じ理屈だということになります。

ヤマタノオロチ=「ハバ」だとすれば、
大昔の日本人は
「きわめて危険性の高いヘビ」のことを
「ハバ」と呼んでいたのではないか?

と推察されます。
そもそもヤマタノオロチ自体、
「八」という数字が使われている時点で、
非常に象徴性の高い生き物です。
古来、日本では
「多い」ことを「八」で表現しますから。
八百万(やおよろず)、嘘八百、旗本八万騎‥‥。

つまり、ヤマタノオロチ
「危ないヘビ」の象徴であって、
古代の日本人がそれを「ハバ」
と呼んで恐れていたのだとしたら、
沖縄は日本で唯一、その言葉を
「ハブ」として残した土地なのではないか?

というのが私の仮説です。

ヒティミティムン
=朝ごはん(つとめてのもの)

東風平(こちんだ)
=東風(こち)の吹く平野

沖縄では内地でとっくの昔に絶えた言葉が、
今も生きています。

「ハブ」という言葉もその一つではないかな?
と、ハブの話が出るたびに思います。

以上は一介の獣医師である私の仮説です。
本当のところはどうなのか。
いつか専門家の方に伺いたいものです。