南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

往診獣医の事件簿 9 〜犯行の動機は、愛〜

ぐっすりと眠る二匹の子犬。
心配そうに見つめる母犬。
一見、平和な光景です。
しかしこの写真、見逃してはいけない点が
三か所あります。
さて、どこでしょう。


正解は、こちら。

f:id:oushinjuui:20190412001308p:plain

手前の子犬はシッポが途中で細くなっています。
そこだけ、毛が無いのです。
まず、ここがおかしい。

奥の子犬は後ろ足の皮膚がむけています。
それも普通のむけかたではなくて、
えぐれたような皮膚欠損です。

そして、母犬。
口元に特徴があります。
口を閉じているのに下の歯が見えていますね。
下顎が長いのです。


それぞれ、別角度から詳しく見てみましょう。
まず、シッポの脱毛。

近くで見ると、
ここだけ削ぎ落としたような状態です。

もう一匹の後ろ足。

やはり、えぐられたような状態。

同じ作用によって形成された可能性が高い。
言うなればまるで、ヤスリのようなもので。

しかし、子犬には常に母犬が寄り添っています。
危害を加えるような「何者か」の接近は許しません。
しかしその「何者か」は、やすやすと子犬たちに近寄り、その皮膚を傷つけたのです。

母親に気づかれることなく、
この犯行に及ぶことのできた「何者か」。
二匹の子犬に同じように接近できた「何者か」。

悲しいかな。

その「何者か」は恐らく、母親自身です。

この母犬は、生まれつき下顎が長いのです。
これをアンダーショットと言います。

アンダーショットの犬が甲斐甲斐しく、
我が子をなめてやるとき。
下の歯が子犬を傷つけることがあります。
母親に陰部をなめられると、
子犬は足先や尻尾などをバタつかせます。
このとき、母犬の歯が当たります。

もちろん母犬に害意などありません。
しかし意思に反して、突出した下の歯が我が子を傷つけてしまうことがあるのです。

幸い、この子たちはもうある程度成長していますから、
飼い主さんが気をつければこれ以上の間違いは起こらないでしょう。
すくすくと成長するはずです。

しかし時にアンダーショットの母犬は、
へその緒を切ろうとして赤ん坊を咬んでしまうことがあります。

これを飼い主さんが誤解して
「我が子を食べようとしている!」
と思って、母子を遠ざけてしまうことがあります。

アンダーショットの母犬はよく観察して、
出産や育児もサポートしてあげましょう。

みんな元気に育ちますように‥‥。





誰でも簡単プロの味★九州産 あご 厳選使用 五縁のあご入りだしタップリ240g(8g×30袋)(あご 煮干し うるめ鰯 利尻昆布) だしパック【送料無料】2袋購入でオマケ付き★ あごだし 《4月16日-4月26日頃より順次出荷》