南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

アンダーショット(受け口)について

昨日の記事に結構反響がありました。

ちょっと補足を入れておきます。

アンダーショット、いわゆる「受け口」について。

ブルドッグやパグなど、いわゆる短吻種では
アンダーショットは珍しくありません。
また程度の軽いものは採食をはじめ、
日常生活に不便をきたすこともないように思います。

しかし明らかに下顎が長く、
食事の際も他の犬に比べて時間がかかる、
というような状態だと、出産・育児期のサポートは必要かと思います。

昨日のお母さん犬も、閉口時に下の歯が正面からのぞく状態。
ドッグフードを食べるのもあまり上手ではないそうです。

正直なところ私も実際の症例に出会って、
受け口の犬の出産・育児期の危険性に気づいたのは、沖縄で往診を始めてからです。

ある飼い主さんは、産まれたての子犬が母犬に咬まれる瞬間を目撃しました。
当初はパニックになり、母子を引き離すとともに母犬をきつく叱ったそうです。

母犬がアンダーショットであること、
激しく我が子を求めたことから
飼い主さんは事情を理解して子犬を返しました。
しかしそれ以後、母犬は飼い主さんのことを極端に恐れるようになってしまったそうです。



ところで日本では、犬は昔から安産の象徴とされています。
しかし私が見る限り、少なくとも現代では、
犬の出産は決して安産ではありません。

私が代診をさせていただいた動物病院では
毎日のように帝王切開がありました。
犬の室内飼育が進めば、体格は小型化していくでしょうから、難産も増えるだろうと思います。

昔のように大型の雑種がポンポンと子供を産む、という光景はどんどん見られなくなるでしょう。

受け口であるかそうでないか、という注意はもちろん、そもそも基本的な事として
「犬は決して安産ではない」
という認識は持っておいたほうが良いように思います。




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