南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

猫がお気に入りの場所にいないとき

猫というのは、だいたい居どころが決まっているものです。

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座布団の上、部屋全体を見回せる食器棚の上。

ひと昔前ならテレビの上というのも定番でした。ポカポカと温かいですからね。

今は薄型テレビが主流になって、猫一族にとってテレビの上は大変寝心地の悪い場所になってしまいました。

 

さて、本題です。

 

猫がお気に入りの場所にいない、あるいは普段行かないような所で休んでいる、このような場合。

 

猫は体調を崩していることがあります。

どこかに痛みがあったり、気分が悪かったり。

 

これは、猫本来の習性を考えるとよく理解できます。

つまり、猫は自分の身体に異常を感じた場合、それが

「外的要因」

によるものだと解釈しがちです。

 

例えば、歯肉炎の猫はフードにうなり声をあげたりすることがあります。痛いのは自分の口であって、フードに攻撃性はありません。

しかし、猫は

「フードが自分の口の中を攻撃してきた」

と勘違いしてしまいます。

 

ですから、身体に異常を感じた場合、

「どうもここで寝ていると痛くてかなわん。何か、変な奴が私を刺しているんじゃないか」

と思いこんで場所をかえます。

 

自然界には毒を持った生物や刺激性のある植物も多くありますから、

「異常を感じたら場所をかえる」

というのは、有効なリスク回避行動だと言えるでしょう。猫はその習性を保持したまま、いま人間と暮らしています。

 

ですから猫の居どころがいつもと違ったら、より丹念に体調をチェックしてあげて下さい。

 

尿は出ているか?あるいは多すぎないか?

どこかに外傷はないか?

食事の時、口を気にしていないか?

身体のどこか特定の所を触ると嫌がったり怒ったりしないか?

 

日頃の観察がこんなときに生きてくるのです。

 

 

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