南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

多様性とは?

昨日は沖縄県南城市内の小学校に行ってきました。

「うさぎのふれあい教室」

です。

 

小学校でいわゆる

「環境教育」

が行われるようになって久しいわけですが、

「いきもの」はまぎれもなく環境を構成する要素の一つです。

 

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その生き物には

「多様性」

があることを、小学校では学ぶことになっています。

 

私は学校に伺った時、あまり難しいお話はしません。

なぜうさぎの耳は長いのか?

呼吸が早いのはなぜか?

フンが小さい丸なのはなぜか?

なでると毛がすぐぬけるのはなぜか?

光に透かすと耳たぶに血管が見えるのはなぜか?

 

人間との違いを子供達と確認して行って、

「その生き物がそこで生きていきやすいようにそうなっているのだ」

ということがわかればよいと思っています。

 

それはまさに

「生き物が環境に適応する」

ことの学習であり、その先につながる

大事な概念の布石になると考えるからです。

 

それはつまり

「自分の価値観は絶対的ではない」

ということです。

 

我々ニンゲンの視点で

「あいつおかしいんじゃないか」

という目で見れば、ウサギもカメも変です。

 

しかしウサギから見ればニンゲンは

「よくあんな短い耳で暮らしていけるな」

でしょうし、

カメからしたら

「あいつら甲羅もなしで大丈夫なのか」

かも知れません。

 

生き物に触れた時、そこに生じる違和感や疑問。

その先にあるものは何でしょう。

 

「人間と動物」の比較から汲み取れる、

相対的な価値観は

「人間と人間」の比較にも拡張できる、

という事ではないでしょうか。

 

それはやがて、

「異文化やマイノリティを尊重する人間性

に成長していく可能性を秘めています。

 

あの特異な形状や奇妙な振る舞いには

きっと何か意味があるのだ、

その理由を深く知ることが勉強なのだ、

 

これが伝われば私は幸せです。

そして、その理由は一生見つからないかも知れません。

 

しかし、

「答えをおしえること」も教育なら

「生涯にわたって考え続ける命題を提示すること」

も教育なのではないかな‥‥と、

しがない獣医はそう思うのです。

 

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