南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

たノミますから駆除薬を‥‥。

「犬や猫にノミがついた」

沖縄ではこの時期でもよくあることです。

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背中につけるタイプのものから食べさせるタイプのものまで、今は色々なお薬があります。

予防も駆除もやりやすくなりました。

 

ただ、そこまで持っていくのが難しい‥‥、

というパターンがあります。

 

「飼い主さんがノミの存在に気づいていない」

場合です。

 

「普通気づくでしょ」と思った方。

それは、あなたがまだ若い証拠かも知れません。

 

まず、ノミの色を思い浮かべて下さい。

たいてい茶色〜黒です。

もし白い毛の生き物についていたら、非常にわかりやすい。

下の画像は白猫についたノミです。

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わかりやすいですね。

しかし、毛が茶色や黒だったらどうでしょう。これは非常にわかりにくくなります。

 

さらに人間は加齢に伴い、近くが見にくくなります。

当然、ノミのような小さなものは見にくくなります。

ですからご高齢の方が茶〜黒の毛色の動物を飼っている場合、ノミに気づくことが非常に難しくなるわけです。

 

「でも、刺されたら普通気づくでしょ」と思った方。

それは、あなたがまだ若い証拠かも知れません。

 

不思議なことに、ご高齢の方はノミに刺されにくいようです。

 

畳でノミが運動会をしているのに、平然と寝っ転がって何ともないおじいさん、

膝の上の猫からノミが跳ねているのに、まったく刺されないおばあさん。

 

ただ、高齢者が飼っている動物の所へ往診に行くと人の出入りは結構あるものです。

ヘルパーさん、宅配の弁当屋さん、お世話に通ってくる親族の方。

 

「ノミだらけの猫と暮らしているのに、本人は全く刺されない」

「ところが、訪ねて来る人はみんな刺されて帰っていく」

だから何とかして欲しい、という依頼がご本人以外から寄せられる事があります。

 

この場合難しいのは、当人がほとんど気にしていないことです。

ノミを視認しづらいですし、刺されることもないわけですから。

しかし、関係者は刺されてしまう。

別の場所にノミを運んでしまう可能性もあります。

 

とにかく、何とか飼い主さんを説得するしかありません。

中には拒否する方もいらっしゃいます。

しかしそこは根気強く、粘り強く、そして明るく。

 

飼育している動物からノミを一掃すること。

安心して訪ねて来られる環境を提供すること。

それも往診獣医の仕事です。

 

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