駆除薬ひとつ - 南の往診獣医さんのブログ

現在時刻は平成31年4月30日の午後11時。
先ほど平成最後の往診が終わって帰途につくところです。

最後の往診は、ただノミ駆除の薬を届けるだけの仕事でした。

すごく簡単な仕事です。

しかし、ここへ来るまでが大変でした。

カルテを見返すと、初めてこの方の所へ伺ったのは平成26年6月24日です。

今、この飼い主さんの玄関先には猫の捕獲器が仕掛けられています。
飼い主さんは80歳を越える方で、もともと猫を拾ってきては自分の部屋で繁殖させ、そこから逃げた猫が近所に散っていくというお宅でした。

この5年近く何度も通って説得を試み、
少しずつ考えを変えていただいて、
先週ついに那覇市から捕獲器を借りてもらいました。

自分のところから逃げた猫だけでも、捕まえて不妊化なさりたいそうです。

「捕まえたらたぶんノミだらけだろうから、あらかじめノミ駆除の薬を貰っときたい」
ということで、お電話をいただいたわけです。

連休中、普段伺わない所への往診が重なって、
ずいぶん遅い時間にお届けすることになりましたが、何とか平成のうちに薬をお届けできました。

たったひとつのノミ駆除の薬を届ける、
ということ。

それはすごく簡単な仕事です。
そしてアームストロング船長の一歩のように、
大きな仕事だと私は信じています。

帰り際、那覇の曇る夜空に稲光が出て一瞬、
天に昇る龍のような影が浮かびました。
思わず車を停めて眺めましたが‥‥気のせいですかね。
龍に見えない事もないですが‥‥。

しかしいい事です。
古来から、龍は吉兆とされていますから。

きっと、いい時代が来ますよ。