「四つのなぜ」とは?
昨日は幼稚園に行ってうさぎを見てきました。
ふと、
「ティンバーゲン博士」
のことを思い出したのでまとめておきます。
ニコラース・ティンバーゲン。
オランダの動物行動学者です。
1973年、ノーベル医学生理学賞を受賞。
ちなみにその4年前、兄のヤンも
ノーベル経済学賞を受賞しています。
さて、このティンバーゲン博士。
ある大発見をしています。
それは
「子供に動物のことを語るとき」、
必ず理解しておくべきことなのですが‥‥。
ここで逆に私が子供になって皆さんに質問してみます。
「犬は、どうしてお手ができるの?」
と。
さあ、どのように答えればよいでしょう。
結論から言いますと、
「答えは四つ準備されねばなりません」。
そう、犬がお手をする理由の説明には、
答えが四つ必要なのです。
そしてこれこそが、
ティンバーゲン博士の発見したことなのです。
具体的に見ていきましょう。
「犬がお手をするのはなぜか」
回答1.「ご褒美がほしいから」
回答2.「腕の筋肉や神経が、お手のできる構造になっているから」
回答3.「お手をすればいいことがあることを学習したから」
回答4.「お手ができる(人間と仲良くできる)性質の犬が子孫を残してきたから」
どうでしょうか。
どれかだけが正しいわけでもなく、
どれかが間違っているわけでもありません。
回答の切り口が違うのです。
つまり、こういうことです。
回答1<ご褒美がほしいから>は
「行動の直接的な理由」(究極要因)
回答2<筋肉や神経の構造>は
「行動を成しうる解剖学的な理由」(至近要因)
回答3<学習したから>は
「個体としてその行動を獲得した理由」(発達要因)
回答4<性質だから>は
「種としてその行動を獲得した理由」(系統進化要因)
いかがでしょうか。
犬がお手をする、というのは一例にすぎません。
ティンバーゲン博士の功績は、
「生物がとる行動には、四方向からの説明がなされねばならない」
という概念そのものを提示したことにあります。
数学や物理学では、なぜ?に対する回答が
1つであることが多いはずです。
しかし相手が生き物になるとそうではない。
実際、小学校の講話では、
子供たちの柔軟な発想にいつも驚かされます。
皆さんも、もし小さいお子さんに
動物について何か尋ねられたら。
自信をもって答えたはずなのに、
子供がどうも納得していないようなら。
このことを思い出してみてください。