南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

予知能力?

あまりオカルトっぽい話はどうかとは思いますが、往診をしていてよく経験するのが猫のカンの鋭さです。

 

彼らは察知するのです。

何を?

「獣医が来るのを」です。

 

これは、往診を始めたころにはあまり気がつきませんでした。

現場に到着したら猫がいない、ということは実際にあります。表に往診車が停まる音がして、ただならぬ雰囲気を察知した猫が逃げるわけです。

飼い主さんと一緒にふすまを開けたり、冷蔵庫の上を探したり、軒下を懐中電灯でのぞいたり。

「見つかりませんねえ」

「さっきまではいたんですけどねえ」

こんなときは、日を改めるしかありません。

 

ですから、こういうことがないように、

「獣医が到着する前にあらかじめ捕まえていてもらう」

というのが良い方法です。

ところが‥‥。

 

「えっ?いないんですか」

「いないんです。朝から」

「事前に捕まえておいていただくようにと」

「ですから、朝一番で捕まえようとしたら、もういないんです」

「しかし戸締りしてるわけだし、外へは出んでしょう」

「だから、この家のどこかに‥」

大抵は発見されますが、診察にあてるべき時間の大部分を捜索にあてたことになります。

 

姿を消さないまでも、当日は朝からそわそわしている、食欲がない、抱こうとすると逃げる、

といったように、まるで獣医が来ることがわかっているかのように振る舞う猫がいるのです。

犬では、ここまでのことはないように感じます。実に不思議です。

 

昨日もお昼ごろ、とあるマンションの9階に伺いました。そこでも猫は朝から緊張しっぱなしだったとのこと。

とにかく、部屋中逃げられても大変なので、脱衣所に入れてドアを閉めておいたそうです。

「じゃ、ここにいるわけですね」

「はい、こちらに‥‥。えーっ、いない!どうして!」

よくよく探してみると、洗濯機のフタの裏にいました。

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折りたたみ式のフタで、奥に向かって山を作るように開けると壁ができるのです。

ちゃっかり、その後ろにいたわけです。

 

上のようなケースは年間何度もあります。

偶然が重なっているだけなのか、それとも本当に予知能力があるのか。

 

猫、実に不思議な生き物です。

 

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