聴診のとき顔をしかめる理由
沖縄県獣医師会のお仕事で、
ペットカーニバル in Okinawa 2018
に参加してきました。
獣医さん体験のお手伝いです。
写真奥に犬のぬいぐるみが見えていますが、あの中には心音計が入っています。
子供が聴診器を使って聴診できるしくみです。
正常心音、雑音とボタンが切り替えられるようになっています。
みんな真剣に聞いていました。
聴診は、21世紀の現代でも大事な検査法です。特に往診ではレントゲンを撮ることが難しいですから、聴診はおろそかにできません。
しかし、往診ならではの問題もあります。
いざ、聴診しようとすると。
「〇〇公民館から、お知らせです‥‥!」
「バラバラバラバラ!(ヘリコプターの音)」
「おいしい豆腐の△△屋です(最近、移動販売の豆腐屋さんが通ります)」
「5時になりました。生徒・児童の皆さんは、お家に帰りましょう‥!」
といった具合に、
生活音の割り込みを受けることがあります。
そもそも往診でなくとも、ただでさえ動物の聴診というのはひと苦労なのです。
聴診器というものは、摩擦音も拾うからです。
皆さんも病院でお医者さんの聴診を受けることがあると思いますが、たいてい服をめくって、肌の上から直接聴いていただくはずです。
たとえばこれが衣服の上、特に毛皮のコートの上のからだとどうでしょう。
ただでさえ心臓までの距離が遠くなる上に、毛皮と聴診器の擦れる音(ザザーっという音)が入り込んできます。
ましてや動物は必ずしも大人しくしていません。擦れる音が最小限になるよう、動物の動きに合わせて聴診器の位置も絶えず変えねばなりません。
往診だと、そこへさらに生活音も入ってきますから
「雑音を脳内でカットして補正する」
という作業をやらねばなりません。
私の聴診している姿をご覧になった飼い主さんの中には、聴診中の私が目をつぶったままうつむいて
「う〜ん!」
と顔をしかめている姿をご覧になったかも知れません。
あれは視覚情報を排除して、脳内補正に徹している局面だとご理解下さい。
決してトイレを我慢している訳ではありません。
だから聴診という技術ひとつとっても、その世界は非常に奥深いものがあります。
ペットカーニバル in Okinawa 2018
は、今日 12/9(日)も宜野湾市のコンベンションセンターで開催中です。
獣医さん体験では聴診のほかにも顕微鏡をのぞいたり、布をつかった縫合の体験などができます。
他にも譲渡会・マジックショーなどイベント盛りだくさんですので、ぜひ足をお運びください。