南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

獣医学と料理 ( 1 ) 〜アラビアータ〜

今日は、料理のお話をしてみます。

パスタの種類に「アラビアータ」というのがありますね。

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このイタリア語、実はアラビアとは何の関係もありません。

 

all’  は「~風の」
arrabbiata は「怒った状態」

ですから、直訳すると「怒りんぼ風」といった感じになります。

このarrabiataという言葉は、ラテン語のrabies(狂気)から派生しています。

なぜパスタに怒りや狂気が関係するかと言えば、この料理には唐辛子が使われるからです。

食べると辛くてカッカ、カッカとするわけです。

 

さて、皆さんは「狂犬病」もご存知ですね。

四類感染症に指定される、動物由来感染症です。

狂犬病、英語では Rabies と言います。

このラテン語、先ほど出てきましたね。

rabies =「狂気」です。

狂犬病患者が攻撃的になることは古来からよく知られていました。

 

ですからつまり、アラビアータも狂犬病も、

ともにラテン語のrabies 「狂気」から生まれた言葉ということになります。

 

狂犬病の病原体は狂犬病ウイルス。

狂暴化した感染者が他者に噛みつく。

そこから唾液感染し、さらなる感染者を生む。

その感染者は狂暴化し、他者に噛みつく‥。

 

ウイルスの戦略としては見事ですが、賞賛する余裕はありません。一人一人が予防の意識を持つ事が大切です。

 

ということで

「獣医学と料理」でした。

アラビアータを食べるとき、狂犬病のことも少し思い出してみて下さい。

 

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