南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

大掃除+風邪薬=?

大掃除の時期です。

相談の電話が来ます。

 

「うちの子、薬を飲んだんです!」

「何かの治療中で‥‥?」

「違います!人間の薬を飲んじゃったんです!」

「誤食ですか。何の薬を?」

「それが、わからないんです!」

「しかし普通、薬の瓶が残ってるとか、箱がまだあるとか‥‥。薬だけむき出しで置いてあったんですか?」

「ソファーをどけて掃除してたら、そこに落ちてた薬があって、それをパクっと‥‥」

そう、このパターンはたまにあります。

そして大抵、落ちてソファーの下に転がり込んだのは何ヶ月か前ですから、何の薬かわかりません。

 

「いいですか、ふだん家族の方が飲んでいる薬にはどんなものがありますか?」

「飲んでないです、基本的に。たまに飲むのは風邪薬くらいで‥」

 

なあんだ、風邪薬か。

 

いやいや。

これは、厄介なパターンです。

もし非ステロイド系の解熱剤が入った総合感冒薬だと、非常に危険です。

特定の種類のものを除いて、犬も猫も非ステロイド系の薬物が苦手です。

最悪の場合、死に至る事もあります。

 

また、カフェインを含有する風邪薬もあります。小型犬が人間の一回分を摂取すると、2日ほど寝ません。

目は真っ赤に充血し、放尿しながら常に走り回り、とにかく落ち着きがありません。

これはカフェイン中毒の実際の写真です。

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結膜の血管が怒張していますね。

この子は興奮して絶えず首を振っていたので、飼い主さんは「ニワトリのようだ‥」とおっしゃっていました。

カフェインも大量に摂取すると命の危険があります。

 

冬は風邪薬を手にする機会も多い上、大掃除の時期でもあります。

小さな錠剤一つが命取りになる危険もありますので、皆さん充分お気をつけて下さい。

 

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