冬のカブトムシに思うこと
1月だというのに、往診中にカブトムシに出会いました。
沖縄ならでは、ですね。
種類はタイワンカブト。
その他の通り台湾から侵入してきた昆虫です。
サトウキビやパイナップルに被害を与えるので沖縄では害虫あつかいです。
さて、獣医師としては「台湾から沖縄に侵入」と聞くとビクッとなることがあります。
2013年、台湾で狂犬病が発生したときのことを思い出すのです。
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このときは緊張が走りました。
沖縄と台湾、人の往来も船舶の出入りも多い。
狂犬病は哺乳類すべてに感染する動物由来感染症です。
まず、怖いのはネズミなどの野生動物です。
例えば、船に紛れ込んで侵入したらどうなるでしょう。
ネズミから県内いたるところにいる野良猫へ。
猫から野犬や飼い犬へ。
そして人へ。
沖縄で発生したら、を考えるとゾッとします。
犬をはじめとして人を含むすべての哺乳類に対する命のリスク。
そして間違いなく、観光業は大打撃を受けるでしょう。
観光業を失ったら沖縄は立ち行くでしょうか。
そして沖縄県の狂犬病予防注射の接種率は、
全国最下位を毎年更新中です。
(沖縄県獣医師会 ホームページより)
防疫の最前線がこの状況ですから、
これはもう国家的な問題なのではないかな、と思うわけです。
北風にもめげず、たくましく歩いているタイワンカブトを見ていると、何か目に見えないものがすでに横をすり抜けて行ったような気がして、生暖かい沖縄の北風すら、うすら寒く感じるのです。