猫ひっかき病 (3)
猫ひっかき病のラストです。
「猫ひっかき病」に感染する経路は
「猫」に「ひっかかれる」だけではない、
というお話をします。
「猫」ひっかき病の保菌動物は、
猫だけではありません。
犬から人への感染も知られています。
「猫ひっかき病の4%は犬から」
という報告もあります。
参考文献を載せておきましょう。
http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0750090808.pdf
さらに、何と
「猫にひっかかれず、咬まれもしない」
のに感染してしまった、
という嘘のようなパターンもあります。
この現象にもノミが関与しています。
「猫から吸血したノミが直接人を刺した」
という例です。
こちらも参考文献を載せておきましょう。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/stmari/45/1/45_49/_article/-char/ja/
こう見てくると、
猫が怖いとか犬が恐ろしいとかではなくて、
「要するにノミさえいなければよいのだ」
という結論に達することができます。
ノミの撲滅は、非常に大事です。
私も往診先で刺されることがあります。
痒いだけならまだ我慢できますが、
感染症の恐怖はつねに身近に感じています。
ちなみに昨年肩を刺されました。
足元は防除していたのですが。
まさか肩まで来るとは。
こんな感じに腫れます。
この「猫ひっかき病」は、
そのわかりやすいネーミングのお陰で
認知度が上がりました。
しかしその反面、
・猫にひっかかれなくても感染する
・元凶はノミである
という事がわかりにくくなってしまいました。
猫におけるバルトネラの保菌率は、
10パーセント程度と言われています。
早々に撲滅したい動物由来感染症の一つです。