南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

忠犬ハチ公とフィラリア症

昨日フィラリアとボルバキアの話について書きました。

今日になって忠犬ハチ公の里帰りのニュースが出て、
イムリーだなぁと思いました。

https://tr.twipple.jp/detail_news/ed/f426ea.htmltr.twipple.jp

実は、そのハチ公が
フィラリア症だった」
というのは確定しています。

ハチ公が亡くなったのは1935年3月8日。
その死後13時間後には、
早くも東京帝国大学農学部獣医学科の
病理細菌学教室にて解剖されています。

当時の解剖初見によれば
・犬糸状虫の右心室〜肺動脈への重度寄生が見られた
・腹水の貯留および肝臓の線維化が見られた
という事ですので、
フィラリア症だったことは間違いないでしょう。

またこれとは別に胃から「竹串が四本」
発見されましたが、胃炎等の記載はありませんので、
直接の死因ではないと考えられます。

ハチ公が生きた1923〜1935年当時は、
「犬がフィラリア症を予防する」
という未来を誰も想像できなかったでしょう。

寄生虫薬・エバーメクチンを大村智氏が発見するのは遥かのち、1979年です。
1981年、エバーメクチン誘導体である「イベルメクチン」が動物薬として登場、
犬のフィラリア症が予防できる時代が到来します。

イベルメクチンは人体薬としても絶大な効果を発揮し、
2015年、大村氏はノーベル生理学・医学賞を受賞します。

犬の寿命は、フィラリア予防がなされるようになってから劇的に伸びました。

私は所沢市川崎市の動物病院で勤務していたことがありますが、
その地域でもフィラリア感染犬は徐々に珍しくなっていました。

しかしここ沖縄では、
月に何件もフィラリア陽性犬を診ます。
この感染症との戦いはまだ終わっていないようです。

大事なことは、知ることです。

私が往診先でフィラリアの検査をするとき、
そのご家庭に子供さんがいれば顕微鏡で
ミクロフィラリア(フィラリアの小虫)を
見せます。

ハチ公の時代から現代、
現代から未来。
数十年後が楽しみです。



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