南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

学校飼育動物を考える (3)

昨日、「学校飼育動物」は
「学校」の「飼育動物」である

というお話をしました。


これに関連して、今日はひとつ、
「間違い探し」をしてみたいと思います。

下の二つの文章に、違う箇所があります。
わかるでしょうか。

A)
国及び地方公共団体は、動物の愛護と適正な飼養に関し、
前条の趣旨にのつとり、相互に連携を図りつつ、
教育活動、広報活動等を通じて
普及啓発を図るように努めなければならない。

B)
国及び地方公共団体は、動物の愛護と適正な飼養に関し、
前条の趣旨にのつとり、相互に連携を図りつつ、
学校、地域、家庭等における教育活動、広報活動等を通じて
普及啓発を図るように努めなければならない。


‥‥ううむ、実に簡単でしたね。
この赤字部分が追加されています。

国及び地方公共団体は、動物の愛護と適正な飼養に関し、
前条の趣旨にのつとり、相互に連携を図りつつ、
学校、地域、家庭等における教育活動、広報活動等を通じて
普及啓発を図るように努めなければならない。


実はこの文章は、
動物愛護法 第三条」。


Aは平成17年の改正前。
Bは改正後です。

改正により
「学校、地域、家庭等における」
という具体的な文言が追加されたのです。

つまり、このとき
「学校は動物愛護の普及啓発の場となるべきこと」
が法によって明示されたことになります。

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すると、例えば
「学校は動物愛護について教える所ではありませんよ」
という意見は、法的に通らない事になります。

いやむしろ動物愛護法をちゃんと読めば、
学校飼育動物こそ
「動物とは、このように大事に飼うべきものなのです」
ということを子供たちに教えるために飼育される動物、
ということになります。

しかし、現状はどうでしょうか。

私は、沖縄県獣医師会の
「学校飼育動物対策委員」
を務めています。

何年も、たくさんの学校飼育動物を治療して回りました。
そして、この現状は変えねばならないと思い続けてきました。

法はすでに存在しています。

ではなぜ学校の動物が、
「さもそのような法が存在していないかのような扱い」
を受けているのか。

明日また、そのことから続きを書きたいと思います。


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