南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

注射、注射、海、注射。

毎年4-6月は狂犬病予防注射月間。
ということでこの時期、一年で一番忙しい日々を過ごしております。
海沿いに回りながら、一軒一軒、注射していきます。

集合注射に来られない方は毎年います。
・ご本人の足腰の問題
・犬の性格の問題
・集合注射の日、犬の体調が良くなかった
・集合注射の日、天候が悪かった
理由は色々です。

しかし往診で打って回るというのは、結構大変です。
移動にかなりの時間を取られるからです。
一件うちに行くのに1時間かかったりします。
その間に一般の診療も挟まりますから、
「朝から晩までかかってまだ打ち終わらない」
という日もあります。
今日は南城市を中心に走りました。
どこに行っても美しい海が見えます。

そうそう、よく誤解されることですが
日本は初めから狂犬病の清浄国ではありません。

かつて、この国にも狂犬病がありました。
犬も、人も毎年命を落としていました。
しかし1950年、狂犬病予防法が施行され
・飼い犬の登録
・予防注射の実施
・野犬の抑留
を徹底した結果、1956年には撲滅されます。

島国とはいえ、これだけ自然豊かで野生動物の多い土地で、撲滅にいたるまでわずか7年。
これは非常にスピーディーです。
それだけ当時の日本人の衛生観念、公共性、責任感といったものが高いレベルにあったと言えるでしょう。

‥‥というような事を言っているうちに、夕方になってしまいました。
まだ、今日のぶんが打ち終わりません。
沖縄はもう梅雨入りしていますが、天気がいいので助かります。

さっきの話を続けます。
いま、日本で狂犬病の発生はありません。
しかしそれは、
「発生がないから予防注射をしなくてよい」
のではなくて、
「過去の日本人が予防注射を徹底したから、いま発生がない」
ということです。

少なくとも、そのように解釈されているので「狂犬病予防法」というものがまだ生きています。

将来的には
「長いこと発生がないから、もう打たなくてもいいよ」
ということになるかも知れませんが、現行法では
「飼い主は犬に狂犬病の予防注射を受けさせる」
ことが義務化されています。

‥‥ということで夜になってしまいました。
狂犬病の予防注射でもう一つ大変なのは、「書類」です。

いつ、どこで何という名の犬に打ったのか。
毛色はどんなで、体格はどうだったか。
その犬の性別は?年齢は?
登録番号は?
発行した済証の番号は?

ということを手書きで一件一件、記入していきます。これは獣医師会を通して、毎月市町村に報告されます。

街灯の明かりで記入することもあります。
帰宅して一息ついて、机の上で書けばいいのですが、夜中に急患で呼ばれる可能性もあります。
1分後に何があるかわからないので、注射が終わったらそのつどテキパキと記入していきます。

この時期は、昼も夜も長い‥‥。
早く、予防注射を打たなくて良い日が来るといいですね。

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