南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

狂犬病 〜誤解されがちなこと〜

「フィリピンを旅行したノルウェー人女性が狂犬病を発症して亡くなった」というニュースについて。



現在、日本には狂犬病が見られません。
こういったニュースを目にしても実感がわかない方が多いかと思います。

しかし狂犬病の清浄国は、大陸の端っこと一部の島国くらいのものです。

基本的には「外国には狂犬病がある」という認識を持つ方が良いでしょう。

下の世界地図で、ピンク色が狂犬病ウイルスを確認しうる地域です。


(Wikipedia)


今回は、狂犬病について
「誤解されがちなこと」
を二つ述べておきます。

その1 :「犬だけが危ない」と思われがち
「狂犬」病というネーミングに惑わされがちですが、狂犬病はすべての哺乳類に感染します
人への感染はほぼ犬から起きるのですが、
ネコ、サル、コウモリなども感染します。
ですから海外に行ったら、特に野生動物には安易に近づかないようにしましょう。


その2:「感染したら助からない」と思われがち
確かに狂犬病を発症した場合、ヒトはほぼ100%死亡します。
しかし咬まれた後のワクチン接種で命が助かる場合があります。
これを「暴露後ワクチン接種」と言います。
狂犬病は比較的潜伏期間が長い動物由来感染症です。

どこを咬まれたかにもよるのですが、潜伏期間が数ヶ月や一年を越えることもあります。

すると咬まれた直後にワクチンを打つことで、この潜伏期間中に免疫を獲得するチャンスが生じることになるわけです。

あくまでも理想は咬まれる前のワクチン接種ですが、咬まれた後のワクチン接種でも命が助かる可能性が残されています。

ですから海外に行かれる方は
・野生動物に安易に接触しない
・動物に咬まれたらすぐ医療機関に相談する

このことを覚えておくとよいかと思います。





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