南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

その水槽、どこで洗う?

前回、子供と生物の触れあいについて書きました。

ひとつ、言い忘れた事があります。
とても大事なこと。
「大人がしっかり衛生管理しましょう」
ということです。

実例に目をむけてみましょう。
ちょっと奇妙な事件がアメリカで起きています。

2004年、ワイオミング州
患者は80歳の女性です。
高熱と下痢が続き、10日間の入院。
原因はサルモネラという細菌でした。
正確には、Salmonella Typhimurium
(サルモネラ ティフィムリウム)という種類の菌です。

これは爬虫類で良く見られる菌で、実際にこの家ではカメを飼っていました。
調べたところ、そのカメからもサルモネラが検出され、患者から分離された型とも一致しました。

問題はここからです。
奇妙なことに、彼女はカメと直接の接触がありませんでした。
子供のように触ることはないし、高齢の女性ですから、カメの飼育容器の水を換えるような重労働もしません。
むしろ、カメと一番距離をとっていたのは彼女でした。

では、なぜ感染が起こったのか。
文献を読むとその答えが書いてあります。


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つまり、カメの世話をしていたのは彼女の家族でしたが、その人物は

「カメの飼育容器をキッチンシンクで洗っていた」

というわけです。
サルモネラの汚染はそこから拡大し、家族の中で一番抵抗力の低い高齢者が感染したと考えられます。

さて。

学校を訪れると、よく水槽があります。
カメをはじめ色々と生き物がいます。
教育の一環として、その世話を子供たちがする。それは良いでしょう。

しかし、衛生管理については大人がしっかりと監督せねばなりません。
最低限の措置として、

「飼育容器を洗う場所と、子供の清潔を保つための場所は分ける」

という配慮は必要だと思います。

サルモネラは敗血症により人を死に至らしめることもある細菌です。
もちろん全てのカメがサルモネラを保菌しているわけでもありませんし、サルモネラ自体にもたくさんの型があります。

しかし感染リスクは下げるべきです。
カメのウンチの混ざった水が跳ねる場所にタオルが掛けてあったり、そこで児童が歯を磨いていてはいけません。

教員の皆さん、あるいはご家庭でも。
「きれいであるべきもの」と「きたないもの」が交差していないか?
気をつけてあげましょう。




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