レプトスピラ症(2) 〜川から皮へ〜
前回、マレーシアで鉄人たちを襲った「レプトスピラ」という細菌のお話をしました。
これを「マレーシアの話じゃないか」と片付けてはいけません。
日本でも、レプトスピラ症は古来より「秋疫(あきやみ)」として知られていました。
昔はゴムの長靴などありませんので、収穫期に素足で水田に入って感染するわけです。
さて。ここでミステリーです。
前回お話したマレーシアの例にしろ、我が国の秋疫にしろ、レプトスピラはどこから人の体内に侵入したのでしょうか。
マレーシアの例では川の水は濁り、お世辞にも綺麗とは言えませんでした。競技者たちも飲まないように気をつけたはずです。
水田での作業にしてもそうですね。
実はレプトスピラは経口感染以外にもう一つ、感染経路を持っています。
それは「経皮感染」です。
彼らは螺旋(らせん)型の形態をしています。
この体を生かして、ぐるぐるっと回転しながら皮膚を通過して侵入するわけです。もし皮膚表面に傷があると、より感染を受けやすくなります。
夏場、水辺でのレジャーの機会も多くなります。小さな傷だから、と気にせず水に入るとレプトスピラに感染してしまう危険があるので注意しましょう。
‥‥というお話をなぜ私が書いているかと言うと。
ここ数年、日本国内で確認されたレプトスピラ症の約半数が、ここ沖縄県で発生しているから
であり、
です。
ちょっとかたい話が続きますが、レプトスピラは人にも犬にも猫にも感染しますので、大事なことです。
ということで次回に続きます。