南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

ボランティアさんへの研修

先にご案内の通り、
このたび動物愛護ボランティアさん向けの講習会が
開催される運びとなりました。

私も話し手の一人としてお声かけいただきました。
大変光栄に思っております。

今回は1回目ということで、
かなり少人数での開催になるようです。
しかし私は以前から、このようなイベントは
必ず必要になると思っていました。

今日はそのことに触れてみたいと思います。

そもそも、大前提として
職業として動物を取り扱う人
は毎年研修を受ける事になっています。

具体的に言えば、
動物愛護法により「動物取扱責任者」都道府県知事が行う研修を受けねばなりません。

その研修内容は
・関連法規について
・動物由来感染症について
か主になっています。
私も何年間か講師を務めさせていただきました。

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しかしボランティアさん方には、このような研修の機会がほとんどありません。

その一方で、
SFTSウイルス」の感染拡大など、
ボランティアさんへの感染リスクが
看過できない状況になって来ました。

すると、少々厄介なことになってきます。
つまり、
「職業として動物と関わり合いのある人」は研修を受ける機会があり、
「無償で動物に向かい合っている人」にはその機会がほぼない

ことになります。

その一方で、沖縄県の定めた
沖縄県動物愛護管理推進計画」
では、県における動物愛護の将来像として

「動物愛護推進員や地域ボランティアが各地で活躍し、地域の相談窓口となっている」
という未来像が描かれています。

このことについて、
「あてにしといて感染症の研修も無しですか」
と行政を責めることはできません。

現在のところ
「ボランティアには年一回の研修を受けさせねばならない」
という法律そのものがありません。
法に無いことを、行政は行えないのです。

ではボランティアさん方の立場や健康を守るために、
民間の獣医師として何が出来るのか。
これは、考えてみればきわめて単純なことでした。

私が県の施設で業者さんたちにしていたお話を、
そのままボランティアさんたちにすればよいのです。
場所はカフェであってもいいし、
公民館をお借りしてもいいし、
人数は何人でもいい。

少なくとも動物由来感染症については
同等の研修内容を提供できるはずです。
何せ、話し手が同一人物なのですから‥‥。

まだまだこの先どうなるかわかりませんが、
このような機会が増えることを願っております。