ヒトとモルモットの共通点は‥‥。
前回のヤギのお話を書いたら、往診先で
「ヤギはビタミンCを合成できてすごいですね!」
というような感想をいただきました。
他の動物たちの名誉のために補足しておくと、多くの動物はビタミンCを体内で合成可能です。
ヒトは合成できませんが、これはヒトの方が変わっているのであって、例えば犬も猫もビタミンCを体内で作ることができます。
不思議なのは、
「ビタミンCを作れない生き物たちが近縁関係にない」
ということです。
ちょっと難しい言い回しですかね。
例えばネズミの仲間であるモルモットは、人と同じようにビタミンCを合成できません。
しかしヒトは霊長類でモルモットは齧歯(げっし)類。
種としてかなり離れています。
あた、ある種のコウモリもビタミンCを作ることができませんが、コウモリとヒトも相当離れています。
そしてビタミンCを合成できないのはコウモリの一部の種に過ぎません。
系統樹上、かけ離れた動物でビタミンC合成能力が消失していることから、これは
「それぞれ別々に進化した種が、独自にビタミンC合成能力を失った」
と考えることができます。
不思議なことに鳥類の中には、一度喪失したビタミンC合成能力を再び獲得した種があることも示されています。
なぜ、ひとつの重要な能力を失ったまま種が存続したり、再び獲得したりするのか‥‥。
ビタミンCひとつとっても、生き物の世界がいかに不思議に満ちているかが分かります。
そう言えば、きのう幼稚園からの講話の依頼が来ました。
こういったことを、できるだけわかりやすくお話できたらいいなと思います。