無獣医地区をゆく
今日は南城市の知念半島の方を回っていました。
天気も良く、往診日和でした。
ニライカナイ橋を通りました。
県外の方にご説明すると。
地図上の赤いエリアです。
面積は約50km²。
イメージしやすいように東京都の区で説明すると、
新宿区=18km²、
千代田区=12km²、
文京区=11km²、
中央区=10km²
ですから、南城市はこれら4区をあわせた広さに相当します。
さてこの広い市域を誇る南城市には、動物病院が一軒もありません。
正確には農業共済さんの家畜診療所が1つありますが、
小動物臨床を専門とする動物病院はないわけです。
ですから南城市にお住いの方にとっては
一番近い動物病院までかなりの距離があることになります。
ですから飼主さんも大変です。
また、動物にとっても大変です。
動物病院がないということは、
「動物に関するモラルそのものが上がりにくい」
ことも意味します。
数年前、往診先のお宅がわからず、その地域の公民館で道を尋ねました。
「あんた、医者ね?」
「いえ、獣医でして」
「牛の?」
「いえ、猫を診に。食欲がないというので」
たいへん笑われました。
獣医療というのはまだまだこれからなのだな、と痛感したものです。
とは言え、もともと沖縄に居住されている方は車社会に慣れているので、
「動物病院が遠い」
ということは必ずしも決定的なリスクではありません。
ただ、動物と一緒に内地から移住されてくる方は注意が必要です。
お仕事をリタイアして、ペットと一緒に沖縄に移って来られる方。
大変多くなっています。
よく言われるのが
「もっと近くに動物病院があると思っていた」
ということです。
南城市は海に沿う市域を中心に、とても景観の良いところです。
しかし山道も多く、夜は暗い道もたくさんあります。
「昼間はいいが、夜の運転が怖い」
という理由で、まだ動物病院が開いている時間でも私に往診を依頼される方がいます。
帰りが遅くなると困るからだそうです。
また、もし一緒に移住してくる動物に持病がある場合には、それなりの準備が必要です。
病態の進行度によっては、ときに往診でカバーできる範囲を超えることもあります。
入院させれば、毎日面会にも行くでしょう。
退院後もしばらくは定期的に通うことでしょう。
ですから動物を連れてお引越しをする場合、そこが「無獣医地区」かどうか、必ず確認しましょう。
そしてそこに、往診獣医がいるかどうかも。